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<岩手競馬>売り上げ好調、300億円台回復 ネット馬券拡大がけん引、薬物問題の影響見えず

馬券発売額が300億円を超えた岩手競馬。今後も好調を維持できるか=盛岡競馬場

 禁止薬物の検出問題に見舞われながら、岩手競馬の2018年度の馬券発売額が14年ぶりに300億円台を回復した。最大の要因は全国的に好調な地方競馬のインターネット販売だ。売り上げはどこまで伸びるのか。競馬ファンからは岩手独自の自助努力を求める声も聞かれるが−。(盛岡総局・片桐大介)
 岩手競馬の馬券発売額の推移はグラフの通り。
 ピークは1991年度の689億円で、東日本大震災発生直後の11年度は146億円まで落ち込んだ。その後は上り調子に転じ、18年度は313億円。300億円台は04年度以来となる。
 引き上げ要因は06年度に始まった馬券のネット発売で、18年度は発売額全体の66%を占めた。

<気軽に買える>
 「手元のスマートフォンで、どこにいても刻々変化するオッズが分かり、気軽に購入できる。馬券を買うとネット運営会社のポイントが付くのも大きい」と県競馬組合の千葉義郎事務局長は解説する。
 ネットによる馬券購入は何も、岩手に限った現象ではない。全国の地方競馬全てがネット販売の拡大で息を吹き返した。
 全地方競馬の18年度総売得金額(発売額から出走取り消しに伴う返還金を引いた額)は6033億円。10年前の09年度(3634億円)と比べて66%も増加した。地方競馬全国協会(東京)は「ネットを中心に競馬人口が増えた」と分析する。

<光る営業戦略>
 これとは別に岩手では、競馬ファンの「習性」に着目した営業戦略も光る。
 5億4200万円を投じて競馬場に照明を整備。人気の高い日本中央競馬会(JRA)のメインレース終了を見計らって夕暮れ時に自前レースを開催したところ、JRAの負け分を取り戻そうとするネット購入者が増えたという。
 岩手競馬は今季も好調を維持しており、4月は前年同月比6.5%増の32億円を売り上げた。少なくとも数字の上では、昨季に発覚した薬物検出問題の影響はうかがえない。
 ただ問題は未解明で、全国協会は「地方競馬全体の信頼を失う極めて深刻な事案」と警告。今後も真相解明が放置されれば、じわじわとファンが離れる恐れも懸念される。
 経営改善も道半ばだ。累積債務330億円を抱えており、返済できたのは当期利益が1億円を超えた17年度の7600万円にとどまる。

<「魅力磨いて」>
 競馬ネットマガジン「テシオ」の松尾康司編集長(盛岡市)は「コストカットで命脈をつないできたが、今後は魅力を磨きたいところだ」と指摘する。
 盛岡競馬場には地方競馬で唯一の芝コースがあり、各地から芝を得意とする競走馬を招くなどファンを魅了するような工夫の余地はいろいろありそうだ。
 松尾編集長は「他の競馬場と連携するのは大事だが、同時に差別化も必要。岩手ならではの物語を発信してほしい」と話す。

[岩手競馬]岩手県競馬組合(管理者・達増拓也知事)が盛岡競馬場(盛岡市)と水沢競馬場(奥州市)を運営する。出資する県などで多額の累積債務が問題となり、2007年度以降は「単年度収支の均衡(単年度黒字)」が事業存続の条件となった。18年度は、8〜12月に競走馬5頭から禁止薬物の筋肉増強剤ボルデノンが検出され、計14日間147レースが休止になった。


関連ページ: 岩手 社会

2019年05月30日木曜日


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