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<東日本大震災>石巻市被災者向け独自事業 住宅補修補助急増2.8倍 戸別訪問で顕在化

 宮城県石巻市が東日本大震災で被災した住宅の再建のため2013年度に創設した支援事業の補修補助件数が18年度、前年度比2.8倍に急増したことが、市への取材で分かった。市が昨秋から実施した未利用者の戸別訪問で潜在的な需要が一気に顕在化した。各種支援制度は利用者の申し出に基づいており、申請主義の限界と被災者への歩み寄りの必要性を裏付ける形になった。
 市震災被災者住宅再建事業として実施し、過去6年の補修補助金の交付件数はグラフの通り。年間の交付件数は初年度の3154件をピークに年々減少。17年度は177件だった。被災住宅の補修が一巡したとの見方もあったが、18年度は496件と上昇に転じた。
 市は昨年9月以降、同事業を利用せず、市の通知にも反応がない約3000世帯を対象に訪問調査を実施。自立生活支援員約20人体制で戸別訪問し、住宅の状況を確認した。
 被災者から補修の意思や予定を直接聞き取り、申請希望者には必要な書類のそろえ方などをアドバイスした。600世帯以上が補修の意向を示し、事業への申請件数は調査が進むにつれ、増加した。
 市生活再建支援課は「申請主義では周知が行き届かなかった。手続きができない理由をきめ細かく聴き取り、できるまで何度も訪問した」と説明。市側からの働き掛けによる需要掘り起こしの効果を強調した。
 同事業について、市は当初1万件程度の利用を想定。17年度末時点で利用者は4778件にとどまった。18年4月には100万円以内の小規模な補修に対し、最大50万円を助成する補助金を創設したものの、申請数は低迷していた。
 在宅被災者を支援するチーム王冠(石巻市)の伊藤健哉代表は「制度を理解できていない在宅被災者は依然多い。他の自治体も被災者への働き掛けが必要だ」と指摘。「戸別調査で分かったことを改めて検証し、既存制度の補助額や運用基準が被災者のニーズに合っているかを見直せば、件数はもっと増える」との見方を示した。

[石巻市震災被災者住宅再建事業]2013年5月に創設され、新築や購入、補修などの再建費用の一部を助成する。対象は半壊以上の被災者で補助は最大100万円。金融機関から借り入れがあった場合は利子相当額に限り最大150万円を助成する。


2019年05月31日金曜日


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