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被災者ケアお疲れさま 石巻・開成仮診療所が7年の活動に幕 仮設住宅の医療拠点

7年間、被災者の心身のケアに取り組んできた長医師=30日午後、石巻市立病院開成仮診療所

 東日本大震災後、宮城県石巻市最大規模の仮設住宅団地近くに設置された市立病院開成仮診療所が30日、最後の診療を終えた。開所から7年。延べ3万人を超える患者を受け入れた地域医療の拠点は、多くの被災者の住宅再建を見届けて幕を下ろす。
 仮診療所にはこの日、12人が足を運んだ。
 診療所近くに住む自営業遊佐幸夫さん(78)は同市雄勝地区で被災。仮設住宅暮らしを経て、5年前に自宅を再建した。「ここで先生と話すことができて良かった。診療所はなくてはならない存在だった」と名残惜しげに語った。
 所長の長純一医師(52)は7年間、診察に携わった。力を入れたのは被災者の心のケア。「心理的、精神的に厳しい状況の患者もいた。診療所がなかったらどうなっていたかと心配になった」と振り返り「被災地、被災者の課題はこれからも続く」と力を込めた。
 仮診療所は2012年5月、計約1900戸が立ち並ぶ開成、南境地区の両仮設住宅団地のほぼ中心に開所。昨年度まで延べ3万2706人が受診した。
 内科、外科の外来や訪問診療を担い、初年度の延べ患者数は3305人(うち仮設住宅入居者73%)。15年度は8992人(同35%)で最多に達した。
 住宅再建が進むとともに仮設住宅の退去者が増え、両地区の入居世帯は1日現在、計13戸に。昨年度の患者数は443人(同4%)に減少した。
 診療所は診療時間を段階的に縮小しながら継続。昨年10月以降、仮設住宅入居者の受診がゼロになり、今月いっぱいでの閉所を決めた。
 長医師は心理的な課題を抱えた被災者が専門科を受診しないケースが多いことを危惧する。「身近な医療が心のケアに関われるような仕組みを考えていかなければならない」と語り、被災地の地域包括ケア体制の充実に取り組んでいく。


2019年05月31日金曜日


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