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<鳴動 参院選東北>(上)くすぶる同日選 揺さぶり「大義」模索

国会議事堂を背景にして、日米の株価下落を表示するモニター(右上)、国会内で模擬投票をする高校生のコラージュ

 あるのか、ないのか−。衆参同日選を巡り、キーマンが揺さぶりをかける。
 「今のところ、首相と衆院解散を論じたことはない」。自民党幹事長二階俊博は鹿角市で5月25日にあった講演会後、駆け寄った報道陣をけむに巻いた。

■ 3年前と酷似
 党本部での記者会見で二階が「(解散)風は吹きかけているように思う」と語ったのは5日前。党幹部が同日選に言及するたび、首相安倍晋三や周辺が打ち消しに走る。巧妙な連携プレーは「解散が頭をかすめたのは事実」と安倍が振り返った2016年参院選直前と酷似する。
 3年前と同様、消費税率の引き上げが迫る。前回は延期を「大義」に掲げた。安倍は10月に増税を断行する構えだが、5月の月例経済報告は国内の景気判断を下方修正。内需の腰折れ懸念は依然、消えない。
 側近中の側近といわれる官房長官菅義偉が、野党による内閣不信任決議案提出が「解散の大義になる」と示唆。自民が大勝した1986年以来、33年ぶりの同日選はより現実味を帯びる。
 「衆院は常在戦場だ。いつ、どんな状況でも前に進むしかない」。仙台市で5月25日に記者会見に臨んだ宮城県連会長西村明宏(衆院宮城3区)は、表情を引き締めた。
 同日選を見据え、宮城県内では選挙事務所を構える物件を探し始める候補者も現れた。ある陣営幹部は「今回の風はやまない。ダブル選挙だ」と息巻く。

■ ほぼ手付かず
 一方の野党は、5月29日に各党党首が会談し、参院選で改選数1の選挙区の候補者一本化にめどを付けたばかり。同日選の態勢構築はほぼ手付かずだ。
 「同日選の可能性はある。だから、なおさら野党が結集しないと駄目だ」
 国民民主党と合併した自由党を率いた小沢一郎(衆院岩手3区)は、5月19日に盛岡市であった記者会見で語気を強めた。
 同日選への危機感をバネに、野党勢力の再結集をもくろむ小沢だが、固い結束を誇った地元・岩手の野党でも、参院選の候補者選びを巡って不協和音が露見した。
 岩手県内の野党関係者は「野党同士で争うのではなく、できるだけ力を結集しなければならない」と強がるが、準備不足は明白だ。
 ばたつく野党を横目に「安倍1強」が仕掛ける揺さぶりは、政権の求心力を保つための好機を逃さない戦略にも映る。
 10月の消費増税後や20年夏の東京五輪後は景気の後退局面に入る恐れがある。「解散するなら今しかない」。安倍は大義を見極め、19日の党首討論で野党を迎え撃つ。(敬称略)

 真夏の参院選が迫る。東北の全6選挙区を「激戦区」とし、必勝を期す与党と、共闘のやぐらを組んで前回の再現を目指す野党がぶつかり合う。衆参同日選もささやかれる中、動き始めた夏決戦の現場を追う。(参院選取材班)


2019年06月01日土曜日


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