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<鳴動 参院選東北>(中)一強の焦燥 大敗の記憶生々しく

会見する安倍首相を背景に、自民党宮城県連の憲法改正フォーラムと田植え作業のコラージュ

 宿願の成就を目指し、憲法改正の旗振り役が気炎を吐いた。
 「議論もしない人を国会に送ることが、この国にとって本当に必要なのか。参院選で問われるはずだ」
 福島市で5月16日にあった自民党支援団体の時局講演会。党憲法改正推進本部長下村博文の弁舌は熱を帯びていた。
 福島選挙区(改選数1)で3選を期す現職森雅子(54)も壇上に立った。党改正案4項目の一つ「教育の充実」に自身の政治信条を重ね合わせ「憲法に記すことで(教育の)優先順位が明確になる」と息巻いた。

■ 改憲是非問う
 自民は参院選公約に「早期の憲法改正を目指す」と盛り込む方針だ。「憲法を議論する政党か、しない政党かを選挙で訴えたい」。翌日の党会合で首相安倍晋三は言い切った。
 野党から「国民不在」との反発がやまない改憲論議。それでも首相が強気なのは堅調な支持率があるからだ。改元の祝賀ムードも作用し、共同通信の5月下旬の調査で安倍内閣の支持率は不支持を14ポイント上回る50.5%に達した。
 5月末には米大統領ドナルド・トランプとの首脳会談に臨み、同盟関係を演出。今月下旬には大阪で20カ国・地域(G20)首脳会合が控える。「外交の安倍」を内外に印象付け、夏の決戦に弾みをつけようとの思惑が透ける。

■ 農村票が離反
 だが、東北の党関係者の顔色はさえない。16年参院選の記憶が生々しく残る。全国で大勝した自民は、東北6選挙区で1勝5敗と沈んだ。環太平洋連携協定(TPP)の影響で農村票が離反したとみられた。
 党本部は昨年12月、秋田を除く5選挙区を激戦区に指定。今年4月には前回唯一の白星を挙げた秋田も追加し、東北を全国に類を見ない主戦場と位置付けた。
 鹿角市で5月25日にあった党主催の講演会。てこ入れに訪れた党重鎮の傍らに農相吉川貴盛の姿があった。かつて自民の金城湯池と言われた農村票のつなぎ留めを図った。
 「間違いなく厳しい選挙になる」。秋田選挙区(改選数1)で再選を期す現職中泉松司(40)は焦りを隠さなかった。
 政権には拭い去り難いジンクスがある。亥年選挙は自民が苦戦するとされる。12年前の07年参院選での大敗は、第1次安倍政権退陣のきっかけとなった。
 改選数が2から1に減る宮城選挙区。4選を目指す現職愛知治郎(49)は12年前、野党候補に19万票以上の大差をつけられ「惨敗の勝利」(党県連関係者)で2位当選に甘んじた。
 当時、与党は年金記録の不備や閣僚の事務所費問題で逆風にさらされた。今回も議員の失言や消費税増税、景気悪化への懸念など不安要素は事欠かない。
 愛知は言う。「一度吹いた風は最後までやまなかった。明日、どんな風が吹くかなど誰も分からない」
(敬称略)


2019年06月02日日曜日


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