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<東京五輪・パラ 聖火リレー>被災3県「世界に町をアピール」進まぬ地域再生に焦りも

聖火のリレー地点に選ばれた南三陸さんさん商店街=宮城県南三陸町

 来年3月26日から列島を巡る東京五輪・パラリンピックの聖火リレーのルートに、東日本大震災の象徴の地が組み込まれた岩手、宮城、福島の被災3県は「復興を発信したい」と歓迎した。復興事業が遅れる地域からは大会理念の「復興五輪」とかみ合わない思いも見え隠れした。

 スタート会場に選ばれたサッカー施設Jヴィレッジがある福島県楢葉町。東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が解除されて3年8カ月がたった。松本幸英町長は「被災地がどれだけ復興しているかを全国、世界にアピールできる。町全体を五輪ムード一色に染めたい」と意気込んだ。

<「望外の幸せ」>
 宮城県のスタート地点となる気仙沼市。モスクワ五輪(1980年)フェンシング日本代表で市体育協会事務局長の千田健一さん(62)は「聖火ランナーが走ることになれば、いよいよ五輪の機運が高まってくる。気仙沼にも元気を与えてくれるだろう」と喜ぶ。
 「望外の幸せ」と話すのは、64年東京五輪で聖火リレーの走者を務めた前岩沼市長の井口経明さん(73)。震災がれきで造られた同市の「千年希望の丘」が来年6月22日のリレー地点に選ばれた。
 18歳の時、日の丸を背負い、名取市との境から当時の岩沼町役場まで約2キロを駆け抜けた。「沿道から多くの声援をもらい、すごいことだと感じた。岩沼のために何かしたいと思うようになった」。政治家を志した原点だったと振り返る。
 宮城県南三陸町の南三陸さんさん商店街も同20日のリレー地点に。さんさん商店会会長の山内大輔さん(41)は「津波被害から立ち上がった町の様子を伝え、盛り上げるイベントを考えたい」と歓迎した。

<「心の励みに」>
 復興五輪の「掛け声」と裏腹に、思うように地域の再生は進んでいない。
 復興への心意気を象徴する「奇跡の一本松」が同18日のルートになった陸前高田市。すし店主阿部和明さん(65)は「人が集まるなら何でもいい」。店を再建した市中心部は空き地が目立ち、人口減も著しい。「五輪が悪いわけではないが、五輪よりまちの今後が気掛かりだ」と話す。
 震災で石巻市雄勝地区の店舗兼自宅を失い、市内の災害公営住宅に住む山下憲一さん(71)は「聖火リレーが来れば五輪を身近に感じられるだろう。リレーが復興や被災者の心の励みになれば」と期待した。


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2019年06月02日日曜日


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