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<この人このまち>森林生かし滞在型観光

大場隆博(おおば・たかひろ)1969年栗原市生まれ。東京農大卒。2012年、栗原市の製材会社「くりこまくんえん」入社。仙台市泉区在住。

 荒れた森を再生する活動に取り組む大崎市鳴子温泉のNPO法人「しんりん」が地域の旅館や飲食店を巻き込み、林業と湯治、滞在型観光を組み合わせた「林泊(りんぱく)」の事業化に乗り出した。理事長の大場隆博さん(49)に狙いや展望を聞いた。(加美支局・佐藤理史)

◎NPO法人しんりん理事長/大場隆博さん(49) 杉切り倒す体験に手応え。鳴子をアウトドアや環境教育の町にしたい

 −どんな活動をしているのですか。
 「大崎市の川渡温泉地区にある『エコラの森』を拠点としています。約30年前にリゾート開発に失敗した後、乱伐され放置された約260ヘクタールの森林です。8年前から植林や間伐を続け、少しずつ豊かな美しい森によみがえらせようとしています」
 「スタッフ8人と牛や馬、小型機械を組み合わせた『ハイブリッド林業』を実践しています。人がチェーンソーで木を切り、馬と小型機械で作業路まで運びます。牛馬は放牧し、下草刈りを手伝ってもらいます」

 −なぜハイブリッド林業なのですか。
 「今の主流は大型の高性能林業機械による皆伐ですが、山は傷付きます。再造林しても収入になるのは40〜50年先。そうではなく、間伐を繰り返し、高く売れる高樹齢の木を増やせば、少しずつ切っても継続的に収入は得られます。宮城県北に100年、200年の森を増やしたいのです」

 −昨年11月に「鳴子温泉もりたびの会」を発足させ、林泊を推進する狙いは何ですか。
 「農泊(農村滞在型旅行)という言葉を聞いた時、鳴子には田んぼだけじゃなくて、山もたくさんあるのだから生かさない手はないと考えました。山仕事で目いっぱい体を動かせば、その後の温泉や料理をもっと楽しめるでしょう」
 「観光、林業、農業などの各産業が連携すれば新たな事業ができ、地域は元気になります。訪れた人が林業に興味を持ち木材を使ってくれるなら、私たちもうれしいという発想です」

 −手応えはありますか。
 「3月に初めて開催した1泊のツアーには、仙台市と中国から5人が参加しました。のこぎりを使って高さ約15メートルの杉を切り倒す体験はすごく喜ばれました。私たちにとって普通の作業も、都会や外国の人は感動するのだと分かりました」

 −今後の計画を教えてください。
 「チェーンソー講習、伝統的な板倉工法の小屋造りなど本格的な内容から子ども向けの自然体験まで、メニューを充実させます。板倉造りのコテージ村も整備します。豊富な森林資源を最大限生かして、鳴子をアウトドアや環境教育の町にしていきたいのです」


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2019年06月03日月曜日


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