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ホシガレイを希望の星に 被災3県の稚魚放流加速 漁業復興へ主産地狙う

ホシガレイの稚魚を搬入する宮城県漁協寄磯前網支所の漁師=5月21日、石巻市
寄磯前網支所に搬入されたホシガレイの稚魚=石巻市

 岩手、宮城、福島3県で東日本大震災後、希少な高級魚ホシガレイの稚魚の放流が大幅に増えている。主力魚種の不振や養殖ホヤなどの販路縮小が続く中、栽培漁業を加速させ、水産復興と経営の安定を狙う。軌道に乗れば、3県が全国の主産地に躍り出る可能性を秘める。
 ホシガレイは1キロ当たり数万円で取引されることがあり、東京都内や仙台市の高級すし店などに流通する。宮城県水産業基盤整備課によると、昨年度のホシガレイの平均単価は1キロ当たり約3700円。同県内で水揚げされる水産物で最も高い部類に入る。
 東北区水産研究所宮古庁舎(宮古市)によると、近年は3県で計約10トンを水揚げする。3県では震災前からホシガレイの種苗栽培の研究に取り組み、宮城は昨年、5年前の約3倍となる18.5トンを漁獲した。
 今季は3県で稚魚計40万尾を放流する予定。昨年度とほぼ同規模で、10万尾未満だった震災前の4倍以上に上る。
 宮城県漁協寄磯前網支所(石巻市)の寄磯青年部は今季、ホシガレイの種苗を放流できるまで成長させる中間育成に初めて取り組む。
 宮古庁舎で育てられた平均体長5.6センチの稚魚約2万尾を5月21日に搬入。7月中旬、約8センチになった稚魚を放流する。2、3年で漁獲可能な30センチ以上に成長するという。
 寄磯前網支所管内は震災後、主力の養殖ホヤの販路が韓国の禁輸措置で大幅に縮小。ホタテ養殖は数年前から続く稚貝の大量へい死で危機的状況にある。漁船漁業も春漁のイサダやコウナゴは不調だった。
 青年部長の鈴木隆介さん(46)は「(現状では)後継者をつくることもできない。将来、ホシガレイが浜の一助となってくれたらいい」と期待する。
 ホシガレイの種苗生産体系の確立に向け、全国豊かな海づくり推進協会や北里大などは2016年度から3年間、3県でプロジェクトを展開。稚魚の成長促進などの技術導入でコストを削減し、1尾当たり従来の約200円から50円程度まで低減させた。
 宮古庁舎の担当者は「全国的な資源量の減少で10トン以上のまとまった水揚げがあるのは東北地方の太平洋側ぐらい。大量放流で、将来は50トン程度の水揚げを目指せる」と意気込む。


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2019年06月03日月曜日


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