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景観ルール定め集落再建 震災前をイメージし屋根の色や白壁統一 女川・竹浦地区

屋根や外壁の色調に統一感を持たせるなどし、住宅を再建した竹浦地区=宮城県女川町

 東日本大震災で被災した宮城県女川町の竹浦(たけのうら)地区の住民が、独自の景観ルールを定めて住まい再建を果たした。建築士の助言を得ながら、震災前の地元の風景をイメージし、屋根や外壁の基準を策定。住民主導による景観に配慮した住宅再建の例は珍しく、関係者の注目を集めている。
 女川町中心部から東に約5キロ離れた海抜約25メートルの高台に、黒や焦げ茶を基調とした屋根と白壁の家並みが広がる。2017年までに防災集団移転促進事業で再建された住宅13戸と、災害公営住宅10戸が建つ竹浦北地区の住宅団地だ。
 行政区長の鈴木成夫(しげお)さん(70)は「できるだけ美しく集落を復興させたかった。『景観はみんなのもの』という意識で、統一感を持たせることができた」と満足そうに語る。
 竹浦地区は震災の津波で全住宅63戸が被災した。住民有志は11年秋、集落再生の手法を学ぼうと新潟県中越地震の被災地を視察。里山の景観に配慮した住宅の見学をきっかけに、再建に向けた話し合いの中で景観ルールが持ち上がった。
 12年から宮城県建築士会のボランティアらの協力で、住宅復興のワークショップを8回開いた。重視したのは、雄勝石のスレート屋根やしっくいの壁が多かった震災前の風景だった。
 当時の雰囲気に近づけようと、新築する家の屋根は黒やグレーのスレート調とし、壁面は天然素材のような色合いにするよう申し合わせた。建物の外観に加え、生け垣など緑化の基準を約2年かけて策定した。
 最終的に10世帯が景観ルールに基づき住宅を新築。他の3世帯も屋根や壁の色をできるだけ合わせ、町も地区の方針に沿って災害公営住宅を設計した。
 将来起こり得る大災害と集落再建の参考にしてもらおうと、県建築士会は17年末、竹浦地区の復興に関する資料や住民の声をDVDにまとめ、各都道府県の建築士会に配った。和歌山県や富山県などから建築士が視察に訪れたという。
 県建築士会の砂金隆夫会長(70)は「住民がつながりを保ちながら景観づくりの合意を形成し、思い入れある古里を再建できた。集落復興のモデルと言えるのではないか」と評価する。


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2019年06月04日火曜日


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