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<東京五輪 有望選手に迫る>伊藤ふたば(Sクライミング) 不利な環境 意に介さず

スポーツクライミング複合ジャパンカップ決勝のボルダリングに挑む伊藤=5月26日、愛媛県西条市の石鎚クライミングパークSAIJO

<学業と競技両立>
 大事な大会は水色のネイルと決めている。「ふたばのイメージ」。そう言ってマニキュアをプレゼントしてくれた憧れの先輩を、真っすぐ追い掛ける。
 岩手・盛岡中央高2年の伊藤ふたば(17)=TEAM au=は、スポーツクライミングで五輪を目指す。2年前にボルダリングジャパンカップを最年少14歳で制した。昨季からはワールドカップ(W杯)で欧州やアジアを駆け巡る。
 「学校に行けてなくて授業に追い付くのが大変。友達のノートを写させてもらっている。成績はまあまあです」
 学業と競技の両立は大変だ。勉強と遠征、東京のジム通いの毎日。週末は新幹線の車内で学校の課題をこなし、空き時間で他の選手の動画をチェックする。
 東京五輪はスピード、ボルダリング、リードの3種目の複合で競う。日本代表の2枠を巡る争いは、ボルダリングW杯で4度の年間総合優勝を誇る野口啓代(あきよ)(30)=TEAM au=、昨年の年間総合優勝者の野中生萌(みほう)(22)=XFLAG=が先行する。
 社会人と高校生。首都圏と岩手。野口、野中と比べると練習時間も環境も十分とは言えない。それでも伊藤は「地元が一番落ち着く。遠征で疲れて帰っても実家だと心身共に回復が早い」と意に介さない。

<残り1枠に望み>
 2月に東京であったスピードのジャパンカップは頼もしかった。気温5度でも「もっと寒い岩手で練習しているので」。結果は第一人者の野中に次ぐ2位。サポートするマネジメント会社の担当者は「不利な環境を受け入れている」と感心しながらうなずく。
 柔軟性とバランスに優れた伊藤に対し、野口は豊富な経験と安定感、野中はパワーとダイナミックな動きが持ち味。伊藤は「2人とも世界をたくさん経験してすごいなと思っている」と尊敬の念を隠さない。水色のマニキュアは誕生日に野口からもらったプレゼントだ。
 5月に愛媛県であった複合ジャパンカップ。五輪出場が懸かる世界選手権(8月・東京)の代表選考を兼ねた大会で、伊藤はスピードでミスして6位にとどまった。上位5人が出場権を獲得した。残り1枠ある代表の座に望みを託す。
 「悔しい悔しい大会だった。複合種目の難しさを結果で知ることができた」
 スポーツクライミングは誰かを打ち負かす競技ではない。眼前の壁と一人向き合う。「世界選手権のチャンスをつかみ、自分の力で結果を残したい」。どんな難しい壁も登り切り、先輩を超えてみせる。


2019年06月04日火曜日


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