山形のニュース

水稲の育苗ハウスでブドウ栽培、遊休期間ワイン用に活用 山形・庄内

水稲の育苗が進む中、ワイン用ブドウが葉を広げ始めている農業用ハウス=5月9日、鶴岡市羽黒町

 ワイン製造「月山ワイン山ぶどう研究所」を運営する庄内たがわ農協(ともに山形県鶴岡市)が、水稲の育苗ハウスを使ったワイン用ブドウの生産を拡大させている。春先以外は使われなかった施設を有効活用するとともに、露地栽培に比べ病虫害に遭いにくい利点もあって品質向上も期待できるという。昨年秋には初めて本格的に収穫、醸造され、たる熟成にかけられている。
 栽培は2015年に始まり、現在は鶴岡市や三川町で約20人の水稲農家が白品種のシャルドネと赤のメルローを手掛ける。昨年は計5トンとまとまった収穫量に達した。
 ブドウの木はハウスの側面に並べて植え、それぞれ屋根の中央に向けて幹を伸ばしていく。幹の両脇にワイヤを通し、枝を絡ませブドウを実らせる仕組み。約330平方メートルのハウスで40本生育し、収穫量400キロが目安だという。
 農協によると、米どころとして知られる山形県庄内地方で、農業用ハウスは水稲の育苗のために田植え前の4月中旬から1カ月間ほど使われるだけで、放置している農家が多い。
 ワイン用ブドウは葉を広げるのが5月以降で育苗の妨げにならず、生食用より手間もかからないため、遊休施設の利用法として有望だという。
 鶴岡市羽黒町の兼業農家成沢真一さん(55)は16年にシャルドネの栽培を始め、昨年は210キロを出荷した。「兼業なのであまり労力をかけず、空いているハウスを活用したかった。木が成長した今年は400キロ以上、収穫できる」と期待する。
 月山ワインは昨年秋、育苗ハウスのシャルドネとメルローをそれぞれ初めて単独で醸造した。雨に当たらない分、病気になりにくく、完熟を待つことができたため糖度や酸味といった品種の特性を引き出した原料になっていたという。
 月山ワインの加藤智所長は「付加価値のあるワインに仕上がりそうで、昨秋はたる熟成を選んだ。庄内地方の水田地帯に数多い育苗ハウスにワイン用ブドウの栽培が広がっていくのが理想だ」と話す。


関連ページ: 山形 経済

2019年06月06日木曜日


先頭に戻る