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がん治療と仕事の両立支援 秋田県の病院と職安、連携強化

舘岡さん(右奥)と金子さん(左)は長い治療期間を見据えた女性(手前右)の人生設計を手伝う=5月22日、秋田大病院

 長期療養を必要とするがん患者らの就労を後押ししようと、秋田県内の病院や公共職業安定所(ハローワーク)が連携を強化している。医療や雇用の視点を組み合わせた支援で、仕事と治療を両立できる職場探しに力を注ぐ。

 事務職に就いていた県央部の30代女性が2017年、急性骨髄性白血病を発症した。治療の末に体調は安定し、再就労を目指した。ただ体力に自信がなく、通院のための休日も必要。「細く長く働きたい」との思いとは裏腹に、就職先はなかなか見つからない。
 現状を打開するために活用したのは、秋田大病院がハローワーク秋田と16年度から取り組む「長期療養者就職支援事業」=?=。女性は5月22日に初めて相談の場を設けてもらった。
 「選択肢はいろいろありますよ」。ハローワーク秋田の舘岡保子就職支援ナビゲーターが笑顔で出迎えた。社会福祉士やキャリアコンサルタントの資格を持ち、障害者の就職相談にも応じるなど経験豊かだ。女性の希望職種や通勤手段を丁寧に聞き取った。
 舘岡さんは、病状や身体的動作の限界などの医療情報を頼りにする。相談に同席した金子幸太医療ソーシャルワーカーが女性の主治医にヒアリングした。通院日数や体調を踏まえた具体的な就労環境がイメージできるため、紹介できる業種や企業が増えるという。
 「医師の了解があるから企業も安心できる」と舘岡さん。時折笑顔を見せた女性は、相談を続けながら仕事を探すことを決めた。
 支援事業は県内の4病院が取り組む。18年度は利用者計141人のうち7割近い94人が新たな職場を見つけた。
 就労相談が結実し始める一方、給与や雇用形態を重視するあまり、就職への門戸を自ら閉ざしてしまう人も少なくない。
 金子さんは「病状によっては保険制度が適用されるなど収入以外でも生活基盤を整えるさまざまな方法があり、就職がゴールではない。医療福祉や雇用といった多方面から支援できる効果は大きい」と語る。
 日本人の2人に1人ががんを経験するといわれる中、医療技術の進歩で生存率は向上し、入院期間も短縮傾向にある。通院しながら地域で暮らす患者への支援の重要性は高まっている。
 秋田労働局職業安定課の武田直樹職業紹介主任は「提携できる医療機関を増やし、誰にも相談できずに社会復帰を諦めてしまう人を減らしたい」と話す。

[長期療養者就職支援事業]長期的治療が必要な患者の就労支援に向けて、国が2013年度に始めたモデル事業。高度な治療を提供するがん診療連携拠点病院とハローワークが協定を締結。参加する東北の医療機関数は19年3月現在、秋田4、青森3、宮城2。岩手、福島、山形はそれぞれ1。


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2019年06月07日金曜日


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