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<東日本大震災>妻よ 海で捜し続ける女川・高松さん 仏作曲家が感銘 曲贈る

シルバンさんの曲の楽譜と祐子さんの写真を見つめる高松さん

 東日本大震災で行方不明になった妻を捜して宮城県女川町の海に潜り続ける男性に、フランスの作曲家から曲が贈られた。曲名には妻の名が冠された。男性と作曲家をつないだピアニストが16日、同町を訪れて恩愛の曲を奏でる。

 「穏やかな曲調に妻の笑顔が思い浮かぶ。妻も好きそうだ」
 同町のバス運転手高松康雄さん(62)は柔らかな旋律と妻の表情を重ね合わせる。約4分半のピアノ曲は「Yuko Takamatsu」と名付けられた。
 高松さんの妻祐子さん=当時(47)=は震災時、町内の七十七銀行女川支店で勤務していた。同支店は20メートル近い高さの津波に襲われた。祐子さんは今も見つかっていない。
 高松さんは祐子さんを捜すため、2014年に潜水士の資格を取得した。練習を含め、今も月4回、海に潜って手掛かりを捜す。
 一心に妻を捜す高松さんの姿はフランスのメディアで報じられた。14年3月、感銘を受けた作曲家のシルバン・ギネさんが親交があるピアニスト植原晴子さん(さいたま市)を通じて作曲を申し出た。
 シルバンさんは高松さんから祐子さんの写真を受け取り、メールのやりとりで性格や震災前の様子を把握した。イメージを膨らませて曲を完成させて、高松さんに翌月、曲のデータを届けた。「この曲は宝物」と高松さんは言う。
 16日の演奏会は、七十七銀行女川支店被災者家族会が主催する。演奏する植原さんは「悲壮感ではなく、祐子さんの優しい性格や海のイメージを想起させる曲。祐子さんを思い、心を込めたい」と語る。
 高松さんは「女川には妻以外にも行方不明の人がいる。この曲を女川の地で聴いてほしい」と願う。
 演奏会は町まちなか交流館で午後2時半開演。入場無料。植原さんが演奏する「Yuko Takamatsu」は動画投稿サイト「ユーチューブ」で視聴できる。


2019年06月08日土曜日


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