広域のニュース

<宮城県沖地震41年>ブロック塀、全て撤去へ 大阪北部地震・小4女児犠牲の高槻市

新しいフェンスが設置された寿栄小を視察する最知特命教授=大阪府高槻市
地震でプールサイドのブロック塀が倒壊した寿栄小。登校中の女児が下敷きになった=2018年6月21日(最知特命教授提供)

 ブロック塀や石塀などの下敷きになり18人が死亡した宮城県沖地震から12日で41年を迎える。昨年6月18日の大阪府北部地震でも、大阪府高槻市の小4女児ら2人が倒壊したブロック塀の犠牲になった。相次ぐ被害を防ぐ方策を探るため、5月下旬、専門家に同行して高槻市を訪れた。
(報道部・鈴木拓也)

<民家から目隠し>
 女児が通っていた寿栄(じゅえい)小(児童324人)は住宅や商店の密集地にある。金網のフェンスが新設された事故現場も水路を挟んで住宅が立ち並ぶ。
 「プールと民家の距離が近く、目隠しと防音のため高いブロック塀が必要だったのだろう」。ブロック塀の危険性を長年訴えてきた東北工大工学部の最知正芳特命教授(建築生産工学)が指摘する。
 事故当時、高さ1.9メートルの擁壁の上にコンクリートブロックが8段(高さ1.6メートル)積まれていた。道路側から見れば3.5メートルの壁だ。地上からの高さは建築基準法施行令が定める高さ2.2メートル以下を超え、強度を高める「控え壁」もなかった。
 最知氏は地震の3日後に現場を視察。「擁壁から飛び出た鉄筋の状況から、ブロック塀が正しく固定されていなかったことが分かった」と振り返る。
 実際、市が設けた事故調査委員会は鉄筋の施工不良と劣化が主な原因だと指摘した。他の学校のブロック塀にも鉄筋の不良箇所が見つかり、調査委は昨年10月、市に「ブロック塀を撤去し、より危険性の少ない囲いへの更新が優先される」と抜本的な対策を求めた。

<思い切った手法>
 市も鉄筋などの内部構造の安全性は点検で確認するのは困難だとし、公共施設のブロック塀を全て撤去する方針を決めた。ブロック塀の総延長は29.6キロに達し、2028年度までに全て取り壊す予定だ。
 調査委で委員長を務めた関西大社会安全学部の奥村与志弘(よしひろ)准教授(防災・減災)は「鉄筋の腐食の進み具合などは壊さないと分からない。ブロック塀を撤去し、二度と同様の構造物を設置させないことが大切だ」と強調する。
 学校現場では着々と撤去が進む。寿栄小から約3キロ離れた冠小(408人)のプールの壁も高さ0.9メートルの擁壁の上に1.6メートルのブロック塀が載る構造だった。
 事故直後は歩道にコーンを置いて近寄れないようにし、今は金属製フェンスに付け替えた。校庭東側には高さ1メートルの別のブロック塀があるが、年度内に撤去する予定だ。
 西田佳弘校長は「残るブロック塀も気になる場所は補強し、定期的にチェックしている。撤去が完了すれば安心できる」と話す。
 最知氏は「高槻市の思い切った手法は他の自治体に一つの道筋を示した。撤去費用がかかっても大事なのはコストではなく命。ブロック塀による犠牲をもう出してはいけない」と全国各地への波及を期待する。

[大阪府北部地震]2018年6月18日午前7時58分ごろ、大阪府北部の深さ13キロを震源に発生したマグニチュード(M)6.1の地震。大阪市北区や高槻市などで最大震度6弱を観測した。関連死1人を含む6人が死亡。倒れたブロック塀の犠牲者は、高槻市の女児=当時(9)=と大阪市の男性=同(80)=の2人。


関連ページ: 広域 社会

2019年06月11日火曜日


先頭に戻る