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<宮城県沖地震41年>リスクの連鎖(上)長期評価 30年内50%上回る恐れ

 宮城県沖地震は、1978年6月12日の発生から41年となった。政府の地震調査委員会が今年2月、次の宮城県沖地震が30年以内に発生する確率を「50%程度」と公表。東日本大震災以降初めて具体的な数字が示され、警戒度は一段と増した。最大級の津波浸水想定の見直しが進む一方、地震の揺れによる被害も見過ごせない。連鎖するリスクへの備えを考える。

<7年以上「不明」>
 7年以上分からなかった確率が「急上昇」した。
 地震調査委が日本海溝沿いの領域ごとに地震の規模や30年以内の発生確率をまとめた「長期評価」。東日本大震災を受けた2011年11月の前回版を改定し、「不明」としていた次の宮城県沖地震の確率をようやく示した。
 地震調査委は26%以上の確率を「高い」と分類する。1978年の地震で大きな被害を受けた仙台市は「いつ起こるか分からないという心構えで、訓練や啓発に取り組む」(減災推進課)と受け止める。
 震災では、マグニチュード(M)9の本震が宮城県沖地震の想定震源域のひずみを解放した。その後も広い範囲で地殻変動が続いたため、前回版では確率を算出できなかった。
 今回は最新の研究から、想定震源域のプレート境界で固着が再開し「次の地震発生サイクルに入った」と判断。震災本震を起点に確率を計算すると、約38年の平均発生間隔のうち既に8年が経過しており「50%程度」という数字となった。

<蓄積するひずみ>
 ただ、地震発生は早まる恐れがある。震災本震の余波でプレートがゆっくりと滑る「余効滑り」の影響だ。
 余効滑りは周囲のプレート境界の固着にひずみを増加させる。宮城県沖地震の想定震源域でほとんど観測されなかった一方、南北の領域では震災後8カ月間にプレートが40〜80センチ以上ずれ動いた。平時のプレートの移動速度の7倍以上の速さだ。
 東北大の木戸元之教授(海底測地学)は「想定震源域では近年、地震活動が活発化している。周囲の余効滑りで急速にひずみが蓄積したため」とみる。
 震災前の長期評価では、宮城県沖地震の30年以内の発生確率は「99%」だった。震災本震は時期こそ「的中」したが、規模は想定をはるかに上回るM9で被害も桁違いだった。過去約130年の近代地震観測など、限られた知見に基づく手法の限界が浮き彫りになった。

<複数の解釈併記>
 地震調査委員を務める東北大の松沢暢(とおる)教授(地震学)は「長期評価は用いる計算方法やデータによって数字が変わる。防災意識を高める効果はあったが、評価が絶対ではないと伝えていくことも必要だった」と悔やむ。
 地震調査委はその反省に立ち、今回の評価では不確実性が大きな情報も検討に活用し、複数の解釈がある場合は併記した。発生確率も余効滑りの影響で高まる可能性を指摘した。
 どの領域でもM7級の地震が浅い震源で起きれば津波を伴う。松沢教授が特に懸念するのが青森県東方沖から北海道東方沖だ。震災本震でもプレートが動かず、大きなひずみがたまっている可能性が高いという。
 松沢教授は「日本列島で地震の被害と無縁な場所はない。長期評価の数字に左右されず、対策を進めることが重要だ」と警鐘を鳴らす。(報道部・東野滋)

[宮城県沖地震]宮城県沖の特定の領域で繰り返すプレート(岩板)境界型地震。沈み込む海側プレートに引きずられて陸側プレートがたわみ、境界の固着した部分がひずみに耐えられずに壊れると発生する。地震調査委員会は規模をマグニチュード(M)7.4前後、平均発生間隔を38.0年と判定。震源が陸に近いため、揺れが強くなる特徴がある。


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2019年06月12日水曜日


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