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養豚場を酵母で消臭 「白神こだま酵母」に効能、町の悩み解消期待

消臭剤「白神ブナの力」を手にする農芸舎の佐々木代表
白神こだま酵母の消臭効果で悪臭が軽減した西馬音内の町並み

 秋田県が商標を保有し製パンの材料として人気の高い白神こだま酵母が同県羽後町の養豚場で消臭に使われ、意外な効能を発揮している。町が豚のふんに混ぜたところ、悪臭が大幅に緩和した。町中心部に養豚場がある関係などから臭いを気にする声は多かったが、新たな消臭方法によって住民の悩みが解消される日も近そうだ。
 同町西馬音内(にしもない)地区には養豚場が2カ所あり、役場など町中心部からの距離は1カ所が約0.5キロ、もう1カ所は約1.5キロと近い。積雪期を除いて豚のふんの臭いに悩まされてきた。
 毎年8月16〜18日にある重要無形民俗文化財「西馬音内盆踊り」の期間中は、ふんを運搬しないよう町が養豚場に要請している。
 こうした実情を踏まえ、町は2012年に悪臭対策の実証実験を始めた。
 ホタテの殻由来の液体をふんに散布したり、消臭ネットを堆肥舎に張ったりと試行錯誤を重ねてきた。今年4月に白神こだま酵母を米ぬかに混ぜて増殖させた消臭剤「白神ブナの力」を養豚場1カ所に導入したところ、明らかな効果が表れたという。
 町農林課の矢野和憲課長は「昨年までは町役場の窓を開けられないほどで、『畜臭の町』と言う住民もいた。今回は格段に消臭効果が出ている」と劇的な改善に驚く。
 実験対象の養豚場は約4000頭を飼育し、1日約3トンのふんが出る。ベルトコンベヤーで場内の堆肥舎に運ぶ際、現在はこの消臭剤を1日3キロ振り掛けている。
 消臭剤を製造する企業組合農芸舎(秋田市)の佐々木三知夫代表は「予想以上の成果だ。寒さや暑さ、乾燥にも強く、雑菌の繁殖を抑えられる」と胸を張る。
 白神こだま酵母を開発した県総合食品研究センター(同)は「酵母は一般にアンモニア臭を抑制する機能があるが、堆肥の中での白神こだま酵母の働きは分からず、詳しく調べる必要がある」と話している。
 町は同酵母を使った消臭実験を1年続け、効果が持続すれば、町内の他の養豚場や牛舎などでの利用も推奨する方針だ。

[白神こだま酵母]酵母研究者の故小玉健吉さんが1997年に白神山地(青森、秋田両県)で採取し、秋田県総合食品研究所(現県総合食品研究センター)が分離した。強い発酵力と冷凍耐性が特徴。県の許諾を得て秋田十條化成(秋田市)が商品化している。


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2019年06月12日水曜日


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