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<サクランボ>樹形管理で収穫省力化 山形県、普及を後押し

省力化のために山形県が普及を目指す(左から)平棚、Y字、V字仕立ての樹形
寒河江市での研修会でY字仕立てのサクランボを見学する生産者ら

 サクランボ生産量の全国シェア75%を誇る山形県で、樹形を「Y字」「V字」「平棚」状に仕立てる取り組みが進んでいる。実が平面的に並ぶため収穫作業が容易になり、労働力不足の緩和にもつながる効果が期待される。2022年デビュー予定の大玉新品種の苗木が生産者に供給される時期でもあり、県は研修会の開催や園地整備に対する補助事業の新設で、農家の樹形管理を後押しする。
 「感覚的には、収穫にかかる時間が半分ほどになった」。5月18日、寒河江市の農業佐藤冨美夫さん(73)は自身の農園で開かれた研修会で講師を務め、県内の生産者や新規就農希望者ら約70人を前に、Y字仕立ての利点を語った。
 佐藤さんは01年、佐藤錦や紅さやかなどのY字仕立て栽培を開始。膝ほどの高さで分岐しY字型になった幹から、約30センチ間隔で実が付く枝(結果枝)が水平に伸びる。四方に大きく枝を伸ばす一般的な仕立て方と異なり、直線的な横移動の作業で済むようになる。
 佐藤さんは「通常の仕立て方だけだった頃は脚立から4度落ち、うち2度は入院した。Y字仕立ては危険性が低く、初心者や女性、高齢者でも作業しやすい」と話す。
 県園芸農業推進課によると、樹形を維持するため、一般的な仕立て方よりも夏場に枝の先端の摘み取り作業を徹底する必要があるが、日当たりが均一で実の品質にばらつきが少なくなるメリットもあるという。
 県が省力化のために普及を目指す樹形管理は他に(1)地面と平行に横へ成長させた幹から約30センチ間隔で結果枝を斜め上方2方向に伸ばすV字(2)一般的なブドウ栽培のように頭上で結果枝を水平に伸ばす平棚−の2種類。Y字と合わせた県内の導入面積は昨年、54戸1048アールと前年から8戸165アール増えた。
 県は現在、大きさが500円玉を上回る新品種「やまがた紅王(べにおう)」の3年後のデビューに向け、登録された生産者約1600戸に順次、苗木を供給中。仕立ては苗木植え付け時に始まるため、各地での導入加速が期待される。
 一方で、枝を沿わせるパイプやワイヤといった資材が通常より多く必要となるなど、初期費用の負担が課題だ。県は本年度、新たに省力化可能な樹形管理を苗木10本以上に導入する生産者向けに、資材費の半額を補助する支援メニューを新設した。


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2019年06月12日水曜日


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