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<宮城県沖地震41年>リスクの連鎖(下)強震被害 「想定内」の備え徹底を

東日本大震災の揺れによる地割れで全壊した民家=2011年3月30日、仙台市青葉区折立5丁目

 宮城県沖地震は、1978年6月12日の発生から41年となった。政府の地震調査委員会が今年2月、次の宮城県沖地震が30年以内に発生する確率を「50%程度」と公表。東日本大震災以降初めて具体的な数字が示され、警戒度は一段と増した。最大級の津波浸水想定の見直しが進む一方、地震の揺れによる被害も見過ごせない。連鎖するリスクへの備えを考える。

<前と同じ地割れ>
 東日本大震災で自宅が傾き、玄関が無残に壊れた光景が古い記憶と重なった。
 仙台市太白区緑ケ丘3丁目の佐藤修さん(83)の自宅は1978年の宮城県沖地震で敷地の中央付近が陥没し、家が傾いた。新たに土を入れて修理したが、震災でも同様の被害を受けた。佐藤さんは「前回と同じ方向に同じような地割れが走った」と振り返る。
 揺れが往復する時間を周期と呼び、地震はさまざまな周期の揺れを含む。震災の本震は、建物被害を引き起こしやすい周期1〜2秒の揺れは少なかったものの、宮城県では内陸部の市町村だけで住宅9848棟が全半壊した。
 仙台市内の揺れによる建物被害を調査した日本建築学会によると、宮城県沖地震と震災のいずれも、被害は太白区緑ケ丘や青葉区北根などの造成宅地と、長町−利府断層の南東側の地域に集中した。
 東北大の大野晋准教授(地震工学)は「造成宅地の盛り土部分と断層南東側は、地盤が軟弱で揺れが増幅した。揺れやすい地盤は変えられない。別の地域に住むか、建物を強くするしかない」と警鐘を鳴らす。

<建築年代で明暗>
 国は81年、宮城県沖地震を受けて建築基準法を改正し、建物の耐震基準を厳格化した。大野准教授によると、震災では建築年代によって被害に大きな差が出たという。
 熊本県内で4万3033棟が全半壊した熊本地震(2016年)も同様だった。被害が甚大になる都市直下型で、最大被災地となった益城町中心部の木造家屋の大破・倒壊率は、基準法改正前に建てられた住宅が45.7%。改正後は18.4%で、基準がより厳しくなった2000年以降はわずか6%にとどまった。
 次の宮城県沖地震が30年以内に発生する確率が「50%程度」とされる中、宮城県の住宅の耐震化率は13年時点で推定84%。全国平均82%を上回るが、震災後に増えた改修件数は年月の経過とともに再び落ち込んでいる。

<「以前から指摘」>
 熊本地震と同じ直下型で、震災を上回る揺れが懸念される長町−利府断層というリスクも足元に潜む。これまでの地震で被害が少なかった場所でも備えは欠かせない。
 18年の大阪府北部地震を同府豊中市の自宅で経験した京大防災研究所の矢守克也教授(防災心理学)は「地震で浮かび上がったのは、以前から指摘されてきた問題ばかりだった」と指摘する。
 宮城県沖地震で危険性が表面化したブロック塀の倒壊で再び犠牲者を出し、家具の下敷きになり亡くなった人もいた。そして古い建物がより多くの被害を受けた。
 矢守教授は「東日本大震災以降『想定外』に目が向きがちだが、本当に深刻なのはむしろ『想定内』の被害を防げなかったことだ。危険性を知りつつ、手付かずのままの問題に本気で取り組むべきだ」と訴える。
(報道部・高木大毅)

[長町−利府断層]仙台市中心部を北東−南西方向に横断する活断層で、北西側が隆起する逆断層。想定される地震の規模はマグニチュード(M)7.0〜7.5程度。活動周期は3000年以上と考えられ、30年以内の地震発生確率は1%以下。政府の地震調査委員会は、確率が「やや高いグループ」に分類する。


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2019年06月14日金曜日


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