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<福島第1原発事故>放射性物質が流出し北太平洋循環 低濃度、生物に影響なし

 東京電力福島第1原発事故で太平洋に流出した放射性物質が東に進み、北米大陸に到達後、西向きに流れ始めたとの研究結果を海洋研究開発機構などのチームが13日までにまとめた。海水を分析し判断した。今後、親潮によって日本付近に戻ると予想されるという。濃度はごく低く、生物に影響を与えないレベル。長い時間をかけて北太平洋を循環する様子の解明につながりそうだ。
 チームは2017年6〜8月、北太平洋の計23カ所で海水を採取し、セシウム134を検出した。核実験では発生しない放射性物質で、原発事故で放出されたとみられる。直接海に出たほか、上空から日本近海の太平洋に落下し、海流に乗って流れたらしい。
 14年に実施した調査では、西経150度付近まで流れていた。今回は、米国とカナダの西海岸の沖合とベーリング海を調べた。北半球の亜寒帯域には、反時計回りに流れる海流「亜寒帯循環」がある。高い濃度だったのは、この海流の流れが強い沿岸域。チームは、亜寒帯循環に沿って北米の西海岸到達後に西に向かったと判断した。
 セシウム134は水に溶け、深さ約200メートルまでの表層に塊のような状態で分布し、300メートルより深くでは検出されなかった。
 濃度は海水1立方メートル当たり最大0.8ベクレルで、国が定める飲料水の基準値(1リットル当たり10ベクレル)の1万分の1以下。放射性物質が半減する時間などを考慮すると、事故当時は6ベクレルだったとみられる。
 チームの熊本雄一郎・同機構主任技術研究員(海洋化学)は「放射性物質を目印として北太平洋の循環を明確に見ることができた。海の循環を知ることは気候変動の将来予測にも欠かせない」と話した。


2019年06月14日金曜日


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