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宮城沿岸15市町の被災住宅 修繕補助制度の利用5割 周知不足、運用に課題

 東日本大震災で被災した住宅の修繕で、宮城県内の沿岸15市町がそれぞれ創設した補助制度の全支給件数が想定の約5割にとどまっていることが、河北新報社の調べで分かった。需要が収束したとの見方がある一方、制度の周知不足や硬直した運用で支援を必要とする被災者が利用していないケースがあるとみられる。制度は2020年度までに全て終了するため、在宅被災者の支援団体は自治体の早急な実態把握を促す。

 15市町ごとの支給件数と想定件数は表の通り。全体の支給件数は3月末現在、約1万4700件で、想定した約2万7600件のほぼ半数だった。
 想定件数は罹災(りさい)証明書の発行数や住宅補修に最大100万円を支給する加算支援金の件数などを基に自治体ごとに算定した。被災者の再建意向調査の結果を反映させたケースもある。
 15〜17年に沿岸8市町で在宅被災者を訪問調査した仙台弁護士会によると、補助制度を利用していない被災者の中には工事代金の領収書を紛失して申請できない事例が多数あった。制度を理解していない高齢者が多く、低所得でそもそも修繕費が工面できないケースもあったという。
 申請数が想定より伸びなかった石巻市は昨秋、対象者を訪問調査した結果、昨年度の市被災者住宅再建事業の補修補助件数が前年度比2.8倍に急増した。
 当初から戸別訪問をしていた多賀城市と七ケ浜町は、ほぼ想定通りの支給件数だった。
 補助制度は13市町が12、13年度に導入した災害危険区域外の被災者らへの住宅再建支援策の一つ。補修工事への補助として上限25万〜200万円を支給。金融機関から借り入れた場合、利子相当分に限り上限50万〜457万円を助成した。
 利府町と松島町は11年度、国の補助制度の対象外となる一部損壊住宅を対象に3万〜20万円を補助する独自制度を創設した。石巻市と女川町は被災者のニーズに合わせ2制度を設けた。
 15市町のうち8市町は申請の受け付けを既に終え、残る7市町は国の復興期間が終わる20年度までに終了する。
 仙台弁護士会災害復興支援特別委員会の小野寺宏一委員長は「戸別訪問などできめ細かく状況を聞いていかないと実態は分からない。制度の隙間に取り残された在宅被災者は一定数いるのではないか」と調査の必要性を指摘する。

[宮城県沿岸15市町の補助制度]2012、13年度、災害危険区域外の被災者向けの住宅再建事業をそれぞれ導入。利用状況に応じ支援内容を拡充した自治体もある。住宅の新築や補修などについて再建費用の一部を補助する。津波被災地域の住民の定着を促すのが狙い。国の特別交付税などを原資とした復興基金を事業費に充てた。利府、松島両町は補修の補助は設けていない。


2019年06月15日土曜日


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