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<人駅一会>(2)万石浦/干満差 丈夫な種ガキ育む

種ガキの水揚げ作業が進む早朝の万石浦。浦宿−万石浦駅間の車窓には、刻一刻と変化する浦の風景が広がる
丹野優(まさる)さん

 東日本大震災で分断された交通網が、長い一本の線につながろうとしている。傷跡を癒やしながら、少しずつ復興に向かう被災地の数々。点々と海沿いに続く駅を起点に訪ね歩いた。

◎石巻市渡波(わたのは) 種ガキ養殖 丹野優さん(68)

 波が穏やかで干満の差が大きい万石浦は、カキの栽培にうってつけ。ここで育てた種ガキは東北だけでなく、北海道や広島県からも注文が来ます。
 海面から突き出ているのは養殖棚の杭(くい)。その間に、カキの赤ちゃんを付着させたホタテの貝殻が竹にくくり付けられています。潮が引くとカキは水から出て、生育が抑えられる。そうやって育つと、出荷先の養殖棚で根付きがよくなります。
 東日本大震災の津波では船がひっくり返りました。家も被災しましたが、先に船を直して何とか養殖を続けました。今はありがたいことに、「お宅の種ガキが一番」と言ってくれるお客さんがいます。
 この仕事は体力勝負。若い頃は陸上競技が好きで、26歳の時には、国体宮城県予選の走り高跳びで3位になったこともあります。
 震災後に建て直した家のローンが80歳まで10年以上残っているので、まだまだ仕事はやめられないね。

◎万石浦(JR石巻線)

 万石浦のカキ養殖の歴史は古い。大正3(1914)年に養殖場が設けられ、種ガキは海外にも広く輸出された。今は54人がカキ養殖に携わり、そのうち丹野さんのような種ガキ専業は8人。万石浦近辺の駅はほとんど津波の被災を免れたが、線路や防潮堤は地盤沈下などの被害を受けた。渡波−浦宿間の運転再開は2013年3月。

(文・写真 高橋諒)


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2019年06月16日日曜日


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