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<岩手・宮城内陸地震11年>適少を求めて(下)花山 住民自治 運営資金やりくり苦心

空き家の庭を草刈りするネットワークのメンバー

 宮城県栗原市花山の空き家に5日朝、草刈り機を持った作業着姿の男女5人が集まった。
 「さて始めますか」。高さ1メートル前後に伸びた雑草を刈り、室内をほうきで掃除する。作業するのは、住民有志でつくる一般社団法人「はなやまネットワーク」のメンバーだ。
 空き家の所有者に売却や賃貸を促し、移住者の受け皿にしようと、2017年に利活用プロジェクトを始めた。これまでに6軒の空き家を手掛けた。

<生活密着の活動>
 草刈り機の操作がまだおぼつかない地域おこし協力隊員筒井保治さん(37)は1月、プロジェクト第1号の6DKの住宅に移り住んだ。「東京では1ルームだった。広々使えるし自然が身近で快適」と話す。
 ネットワークの前身は14年、行政区長会を中心に設立した任意の協議会だった。岩手・宮城内陸地震と東日本大震災によって高齢化と人口減少は加速したが、「自分たちでできることは自分たちで」と、民間主導の取り組みを始めた。昨年5月には、活動の幅を広げるため法人格を取得した。
 請け負う業務は、栗原市が4月に導入した「乗り合いデマンド交通」の花山地区での運行、移動販売車による高齢者の買い物支援、市花山農山村交流センターの指定管理など。
 いずれも地域住民の生活に関わる重要な事業だが、組織の運営費確保に苦労している。ネットワークのスタッフは職員4人とパート6人。19年度予算の人件費はわずか800万円弱で、ここから10人分の給与を捻出しなければならない。

<手弁当で支える>
 ことし4月に栗原市から受託した「湖畔のみせ 旬彩」の指定管理料はゼロ。光熱費や水道料、人件費は旬彩の売り上げから出さなければならない。
 経費を抑えるため、住民ボランティア、地域おこし協力隊員のサポートを受ける。事務局長の佐々木徳吉さん(64)は「手弁当で協力してもらっているので申し訳なくなる」と語る。
 ネットワークでは今月初め、運営資金を集める新たな手を打った。新会員と寄付を募るチラシを花山地区の全戸に配布。仙台と東京での出身者の会合でも、支援を呼び掛ける計画だ。
 代表の大場徳幸さん(76)は「花山を思ってくれる方々の支援とわれわれの知恵で、持続的な『限界集落』を実現させたい」と力を込める。


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2019年06月16日日曜日


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