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<福島第2廃炉>決定足踏み 東電方針表明1年いまだ工程示さず、本気度疑う声も

廃炉方針の表明から1年がたった東京電力福島第2原発=福島県楢葉町、富岡町

 東京電力が福島第2原発全4基の廃炉方針を表明して1年が過ぎた。この間、東電は廃炉に向けた具体的な工程を明らかにせず、廃炉の「正式決定」の判断もしていない。第1原発の廃炉と並行して進めるには課題が多く、検討作業は足踏みが続いている。(福島総局・神田一道、いわき支局・佐藤崇)

 「多岐にわたる課題を整理し、検討を進めているところだ」
 東電福島広報部の担当者は11日、河北新報社の取材に現在の検討状況を説明した。具体的な進捗(しんちょく)に関する言及を避け「引き続きスピード感を持ってしっかりと検討を進めたい」と述べるにとどめた。
 東電は、第2原発の廃炉を正式決定しているわけではない。
 廃炉方針を表明したのは昨年6月14日。ただ、福島県庁を訪れた小早川智明社長が内堀雅雄知事に伝えたのは、あくまで「廃炉の方向で具体的な検討を進める」ことにすぎない。廃炉手続きは進まず、社長直轄のプロジェクトチームがさまざまな課題を検討するという段階にとどまったままだ。

<「人的資源が壁」>
 正式表明の支障になっているのが、事故を起こした第1原発の存在だ。第1原発では炉心溶融(メルトダウン)した1〜3号機を含む全6基の廃炉作業を安全に進めるため、1日平均4000人が作業に当たる。
 「これと並行して第2原発の4基の廃炉作業も進めた場合、果たして人的資源を確保できるかという課題がある」と広報部の担当者は言う。
 第2原発の廃炉には約2800億円の費用がかかると見込まれる。東電は廃炉を決めた場合の経営への影響も踏まえ、慎重に検討しているとみられる。
 県は東電に対し、早期の廃炉決定を求める。内堀知事は今年1月、県庁を訪れた小早川社長に「第2原発廃炉の正式決定」を要請。今月7日には世耕弘成経済産業相にも「国の責任で決めてほしい」と訴えた。
 県庁内には東電の「本気度」を疑う声もある。県の担当者は「廃炉を検討していると言いながら検討状況が一向に見えない。東電側から廃炉工程をしっかりと示されなければ県としても安心できない」と言う。

<財政への影響大>
 廃炉が決まれば第2原発が立地する富岡、楢葉両町の財政面に与える影響は極めて大きい。廃炉方針を評価する両町は工程の早期明示を求める一方、併せて代替の支援措置を検討するよう国や県などに要望している。
 両町は、原発立地に伴う国の2種類の交付金だけで年約10億円を今も受け取っている。廃炉の正式決定後は激変緩和が目的の別の交付金となり、段階的に減って10年でゼロになる。
 楢葉町は「第2原発の廃炉は第1原発の事故が大きな要因。他の計画的な廃炉とは異なる」(松本幸英町長)とのスタンス。担当者は「事情に配慮した特別な財源措置を引き続き求めていく」と話す。


2019年06月16日日曜日


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