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がん患う親に思いを 秋田大・東北で唯一、子どもへの支援プログラム実施

がんの治療を分かりやすく子どもたちに伝えるプログラムのスタッフ=秋田市

 秋田大大学院医学系研究科などのグループが東北で唯一、親ががん治療に励む子を支援するCLIMB(クライム)プログラムに取り組んでいる。看護や保育などの専門知識やノウハウを持つ関係者が連携し、親の闘病に関わる繊細な要素をはらむ環境に適応する力や感性を子から引き出そうと模索を続ける。

 「お母さんのがんは、誰のせいでもないんだよ」
 秋田市で3月中旬にあったCLIMBプログラム。医学系研究科の男子学生が、がんを患う母親がいる小学生の兄弟2人に優しく語り掛けた。紙芝居を片手に、がん細胞や薬の副作用に関する難しい専門用語を解きほぐして伝えるよう工夫を重ねた。
 プログラムは未成年の子が対象。4回のグループワークを行う。自己紹介や簡単なゲームを通じて「楽しい」「混乱」といった感情と向き合い、親へのお見舞いカードや手紙を書いて気持ちの表現の仕方を学ぶ。
 治療をイメージしやすいようにと活用するのが、医療関係者が病気の説明時などに使うキワニスドールという約30センチの人形だ。
 自分の大切な人を思い浮かべながら人形の白生地に顔や服装を描き、医師になったつもりで点滴を打つなどの疑似体験をする。患者の親に思いを寄せるための大切な道具になっている。
 看護師や臨床心理士、小児医療現場で活動する保育士らが子の言動を観察。ため込んだストレスの発散や感情が整理できるよう導く。治療生活や子との接し方に悩む親の相談も受ける。
 心配をかけまいと病気の話を避けがちな親もいる一方で、想像力豊かな子は普段と異なる親の様子を見て不安を募らせるケースが少なくないという。
 秋田大大学院医学系研究科保健学専攻の赤川祐子助教は「親子の間に入って支援する媒介者として多様な視点で見つめ、思いを受け止めることが大切」と言う。
 国立がん研究センターは18歳未満の子がいる親で新たにがんと診断される患者は年間約5万6000人、その子どもは約8万7000人に上ると推計。家族全体をサポートする仕組みの重要性は増している。赤川助教は「子は親の治療を支える大切な存在。安心して向き合う場を提供できるよう支援の輪を広げたい」と話す。

[CLIMBプログラム] 「 Children’s Lives Include Moments of Bravy」の略称。親の病気に関するストレスへの対処能力を高めることが目的。日本では民間団体が2010年から普及に取り組む。秋田では17年に始まり、年2回実施。19年3月までに16世帯の子ども約20人が参加した。


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2019年06月17日月曜日


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