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<ネパール地震4年>JICA・永見光三事務所次長に聞く 共助の力生かし復興

ながみ・こうぞう 東洋大大学院国際地域学研究科博士後期課程修了。94年JICA入り。インドネシア事務所で04年のスマトラ沖地震、東北支部(仙台市)で東日本大震災の復興支援に当たり、16年1月から現職。兵庫県出身。仙台市青葉区に妻と子2人が暮らす。
住宅の再建現場。住民らが協力してれんがを積む=2018年11月、ネパール・ゴルカ郡

 8790人が犠牲となった2015年4月25日のネパール地震から4年がたった。ネパール政府の集計で、再建した住宅は全壊79万戸のようやく半数にとどまる。国際協力機構(JICA)は日本人専門家延べ105人を現地に派遣し、人づくりを支援してきた。JICAネパール事務所次長の永見光三さん(47)に復興支援の現状を聞いた。(聞き手は報道部・高橋鉄男、東野滋)

 −住宅再建の状況は。
 「15年9月の新憲法公布を巡る政治的な混乱で材料不足が生じた。地震による人手不足、貧困による資金不足が重なり、当初は住宅再建がなかなか進まなかった。17年末から18年にかけて政権が安定し、ここ1、2年で住宅再建が進み、学校も半数を再建した」

 −再び被害が起きないよう、地震に強い住宅の再建を呼び掛けている。
<費用の半分補助>
 「ネパール政府は日本の政府開発援助(ODA)などの支援を受け、耐震住宅を再建した人に費用の半分に当たる30万ルピー(日本円で約30万円)を補助している。住民は自分たちで石やれんがを積み上げて家を建てるため、JICAは建築のガイドラインづくりから始めた。住民や石工、耐震性をチェックする検査員に技術研修を実施し、しっかりとした家を造れるようにした」

 −JICAの支援対象は震源があったゴルカ郡などの5万7000棟。このうち8割が再建した。
<集落ごと説明会>
 「地域に元々あるコミュニティー力を生かすようにしてから再建が急ピッチで進んだ。集落ごとに説明会を開き、資材の購入や建築を協働で進め、共助の力を引き出せたのが大きい」
 「この支援は、東日本大震災を踏まえて15年の国連防災世界会議で採択された仙台防災枠組の指針『ビルド・バック・ベター(より良い復興)』に基づく。地震に強い家という物質的な意味にとどまらず、共助で災害や貧困などの社会リスクに立ち向かう地域づくりを大切にしている」

 −ネパール政府が地震後設けた復興庁が20年12月に設置期限を迎える。
 「残り1年半しかなく、まだ住宅を再建できていない人が取り残されかねない。再建を諦め、都市部に移住してしまう人もいる。人を重視した日本独自の支援モデルを他地域にも広げ、復興を後押ししたい」


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2019年06月17日月曜日


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