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宮城沿岸15市町 住宅再建の基金、20年度末に残高36億円の見込み 全額返納前に浸透と有効活用を

 東日本大震災で被災した宮城県内の沿岸15市町がそれぞれ創設した住宅再建支援事業の原資に充てる復興基金について、国の復興期間が終了する2020年度末の残額が36億円以上に上る見込みであることが河北新報社の調査で分かった。今年3月末時点の残額は160億円近くとなっており、最終的に膨らむ可能性がある。余った場合は国に全額返納される。
 在宅被災者ら住宅再建が不十分な世帯は依然として存在し、被災者支援団体は助成制度のさらなる浸透と基金の有効活用を自治体に求めている。
 15市町は復興基金を原資に832億円以上を支出する計画を立てた。各市町の基金総額と3月末時点の未使用額は表の通り。
 20年度末に残額を見込むのは塩釜(7億3900万円)亘理(9億円)山元(10億円)松島(5500万円)女川(10億円)の5市町で計36億9400万円となっている。
 3月末時点の未使用額は全体で155億800万円。10市町は20年度末の残額の見込みを「0円」としたものの、被災者への支給が想定通りに進まない可能性もある。仙台、気仙沼、松島、南三陸の4市町は20年度までの住宅再建に絡む事業総額が決まっていない。
 山元町の担当課は「支援対象世帯が減ったため」と分析。塩釜市は「他の復興事業との関係で対象外となった世帯が多かった」とした上で、「住宅再建が完了したとの考えはなく、(制度の)未申請者を少なくしたい」と説明する。
 3月末時点で15億8000万円が未使用の気仙沼市は「まだ未申請者がいる。被災者のためにもらったお金なので、可能な限りゼロを目指す」と強調する。
 住宅再建向けの事業に充てる復興基金の原資は11年に交付された「通常分」と、13年交付の「津波住宅再建支援分」の2種類。寄付金などを原資に加えた自治体もある。20年度末に残る見込みの36億円は全て津波住宅再建支援分。
 在宅被災者を支援するチーム王冠(石巻市)の伊藤健哉代表は「日常を取り戻せない被災者がいて、救えるお金があるのに国に返す矛盾は許されない。一人一人の実態を調査すべきだ」と指摘。「その上で余るのならいったん県に返し、県が必要とする市町に再配分すればいい」と提言する。

[復興基金]被災者の自立支援や復興事業に充てる資金で、使途の自由度が高い。国は2011年10月、青森、岩手、宮城、福島の東北4県を含む全国の被災9県に計1960億円を特別交付税で措置した。宮城県には660億円が交付され、県は330億円を35市町村に配分した。国は13年に災害危険区域外の住宅再建支援向けに1047億円を東北4県を含む計6県に追加し、宮城県は728億円を沿岸15市町に配分した。


2019年06月19日水曜日


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