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<東芝メモリ>北上工場、今秋完成 従業員2000人規模基盤整備急ぐ

完成が近づく東芝メモリ北上工場。周辺自治体は生活基盤の整備を急ぐ=北上市

 半導体製造の東芝メモリ北上工場が今秋、北上市に完成するのを前に、関係自治体が住宅供給策や道路整備を加速させている。工場の本格稼働は2020年。関連企業を含む従業員2000人という規模は、11年のセントラル自動車(現トヨタ自動車東日本)の宮城県進出時に匹敵する。生活基盤の整備は時間との闘いになりそうだ。(北上支局・野仲敏勝)

<貸家建設に補助>
 JR北上駅東口の市有地に民間資金を活用した賃貸マンションの建設を発表した北上市。併せて「共同住宅建設促進プロジェクト」の関連予算案を今月、議会に提出した。
 民間事業者が市内にアパートなどを建設する際に1室当たり50万円を補助する市単独の制度で、3年間に600室の確保を目指す。
 北上市の貸家着工戸数は岩手の県都盛岡を上回るペース。市民の間では10年ぶりの分譲マンション建設が話題になっているが、それでも今後の住宅需要に追い付かないという。
 議会には特定事業への大規模補助を疑問視する声があるものの、高橋敏彦市長は「状況は逼迫(ひっぱく)している」と理解を求める。
 市内の賃貸物件不足は今春の異動期、既に顕在化していた。地元不動産業者は、市内への転勤世帯に15〜30キロ離れた紫波町や奥州市まで範囲を広げて探すよう助言したという。
 岩手県宅地建物取引業協会北上支部の伊沢哲雄支部長は「リーマン・ショックで09年に東芝の工場進出が延期となり、アパート経営で苦い思いをした事業者が多い。その反動もあって民間の動きが鈍い」と解説する。
 現地子会社の東芝メモリ岩手は、従業員の入居前から家賃を支払って一部物件を押さえている。高橋洋文人材採用センター長は「迷惑にならないよう、花巻市や金ケ崎町に範囲を広げて部屋を確保している」と話す。

<国道を4車線化>
 北上市に隣接する花巻市は、北上工場と花巻市中心部を直接結ぶ市道約1キロで拡幅工事を準備。市をまたいで従業員に居住を促す。
 東北自動車道の花巻スマートインターチェンジ整備構想、国道4号の4車線化も東芝メモリ進出に合わせた動きだ。花巻市は「半導体は日本の重要産業。物流ルートの確保が必要」と国への働き掛けを強める。
 社会基盤が大きく変わる可能性がある北上、花巻両市。県は3月、両市と「花北地域まちづくりグランドデザイン研究会」を発足させた。
 従業員約1400人が相模原市などから移住したセントラル自動車本社移転でも、宮城県内の関係自治体が宅地造成、保育所整備など生活基盤の見直しを進めている。
 東芝メモリの工場増設を見据え、岩手県ものづくり自動車産業振興室は「どういうエリアに人が住み、どういう道路の整備が必要になるのか。30年先の地域像を共有したい」と研究会の狙いを説明した。

[東芝メモリ北上工場]半導体大手の東芝メモリ(東京)が四日市工場(三重県四日市市)に次ぐ生産拠点として2018年7月に着工。スマートフォンやデータセンターで使われる記憶媒体3次元フラッシュメモリーを製造する。投資額は製造装置を含めて約1兆円。


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2019年06月19日水曜日


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