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<攻防の断面>仙台市議選告示まで2カ月[5完]被災地復興/8年が経過訴え手探り

被災者の話をじっくり聞く宮城野区の元議員(左)

 仙台市宮城野区田子の新興住宅地。市議選(8月16日告示、25日投開票)で返り咲きを狙う元議員は5月27日、東日本大震災で被災した70代の男性を訪ねた。
 海の近くにあった男性の自宅は津波で流された。プレハブ仮設住宅での生活を経て、3年半前に防災集団移転先で自宅を再建した。
市民の要望変化
 「高齢ドライバーの事故防止対策を考えてよ」。男性の提言に元議員は深くうなずき、話に耳を傾ける。震災から8年余りが経過し、最近は復興関連以外の要望が増えたと感じる。
 元議員も震災で被災した。避難所運営に関わるうち市政への志が芽生えた。2011年、初めて挑んだ市議選で議席を得たが、15年の前回は再選を逃した。
 「訴えを震災復興に特化したのが敗因ではないか」
 落選直後、支持者に言われた言葉が忘れられない。雪辱を期す今回は、いじめ問題、地元企業の売り込みなどを重点政策に掲げる。
 市の震災復興計画は15年度に完了。ピーク時は1900億円を超えた復興事業費も、復旧工事や災害公営住宅の整備などがほとんど終わり、19年度当初予算は160億円に減った。
 復興か、それ以外の政策か−。被災地のある宮城野、若林両区の候補予定者たちは訴えの重点をどこに置くべきか葛藤を抱える。
 「子育てと教育の支援が政策の一丁目一番地だ」
 今月15日、若林区に立つ新人は事務所開きでこう力を込めた。2番手に防災と地域政策を挙げ、以降は経済、福祉、農業、行政改革と六つの公約を紹介した。
 震災後、若林区の有権者分布は変わる。津波被災地の荒浜地区は人口が227となり、10分の1以下に激減。多くの被災者は荒井地区など内陸に移り住んだ。
 荒井地区周辺は15年12月の市地下鉄東西線開業で、急速に市街地が広がる。人口は約1万5600と震災前の2倍に増え、子育て世帯の転入が相次ぐ。
 別の新人は「選挙区をくまなく歩くつもりだが、短期間で多くの人に浸透を図るため、荒井地区は重点的に回ると思う」と明かす。
「原点を再確認」
 「政治活動の原点を再確認する」
 今月11日、同区の現職は仙台東部道路に近い交差点に立った。海から約3キロ離れた津波の浸水域。11年の初当選以来、震災の月命日は被災地でのつじ立ちや慰霊碑訪問を心掛ける。
 今回も最重点政策に「復興」を掲げる。「被災地の復興を成し遂げることが、人口減少や少子高齢化に直面する他の地域の課題解決につながる」と意気込む。
 震災後、3回目の市議選が2カ月後に迫る。候補予定者たちはポスト復興も見据え、戦い方を模索する。
(仙台市政取材班)


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2019年06月20日木曜日


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