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<陸前高田市>情報公開条例改正案 料金引き上げ議論慎重に/市民オンブズマンいわて会長井上博夫氏に聞く

「情報公開は行政の通常業務」と強調する井上氏

 行政文書の開示請求で手数料を徴収する陸前高田市の情報公開条例改正案に、市民オンブズマンいわてが「情報公開制度の基本を理解していない」と批判を強めている。議案の取り下げや慎重審議の申し入れを検討しているという市民オンブズマン会長で岩手大名誉教授(財政学)の井上博夫氏(68)に聞いた。(聞き手は大船渡支局・坂井直人)

 −市は、手数料の徴収を住民票の交付手数料と同じと説明している。
 「情報公開請求と住民票や戸籍謄本の交付は全くの別物。文書開示は自治体の責務であり、通常の業務だ。議員の質問に対する労力コストを議員に請求しないのと同様、民主主義を形作る開示請求にかかる労力は、自治体にとって当たり前のコストと言える」

 −市は、閲覧するだけでも原本の複写費用を徴収する方針だ。
 「請求文書は開示が原則であり、原本をそのまま閲覧させれば済む。原本の複写は、黒塗り作業が必要な非開示部分に限られるはずだ。しかも非開示の判断は不服申し立てで覆ることがあり、確定的な結論ではない。最初から請求者に負担を求めるのは問題だ」

 −開示請求の件数が年々増加し、行政は業務量が増えているという。
 「日頃の情報公開度が低いから、開示請求されたときに慌てて準備が必要になる。請求者と丁寧にやりとりして真に必要な文書を絞り込むことも含め、行政が情報公開と文書管理の事務をきちんとしていれば、大量請求は避けられる」
 「営利を目的とした民間企業の請求には、条例に特別料金の徴収を規定することもあり得る。実際、そうしている自治体もある」

 −条例改正案は現在、6月定例市議会に提出されている。
 「審議を託された議会は、他の自治体と比べて当局提出の改正案が突出して奇妙ではないか、しっかり調べてから結論を出してほしい。調査に時間がかかるのなら継続審議とすればいいだけ。採決を急ぐ必要は全くない」

[陸前高田市の情報公開条例改正案]開示請求1件につき、一律300円と文書1枚当たり10円(カラーは50円)を手数料として徴収する。東北では、仙北市や須賀川市が1件100〜200円の手数料を徴収。湯沢市は非開示情報が含まれる文書を閲覧する際、費用負担が生じる。大館市や由利本荘市は一部請求者から徴収していた手数料を廃止した。


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2019年06月21日金曜日


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