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<地上イージス>電磁波の影響と攻撃巻き添え 秋田と山口候補地、同じ懸念抱く

防衛省が山口県側の配備候補地とする陸上自衛隊むつみ演習場

 イージス・アショアを巡り、防衛省は先月末、陸自新屋演習場(秋田市)とむつみ演習場(山口県萩市、阿武町)の2カ所を「適地」とする調査結果を公表した。海沿いの新屋と山あいのむつみは地理的条件が異なるが、住民はレーダーの電磁波の影響や攻撃対象となる恐れなど共通する懸念を抱く。調査で検討したという他の国有地は一様に「不適」とされ、それぞれの地元は「新屋ありき」「むつみありき」と反発を強める。
 防衛省の配備案では、両候補地ともに弾道ミサイルを探知するレーダー施設やミサイル発射装置と、近隣の民家との間に700メートルの緩衝地帯を設ける。
 新屋演習場は西側がすぐ日本海。東側は住宅が立ち並び市中心部も近い。同省は、通常レーダーは海側に向けるため住宅地などに影響は及ばないと説明する。
 むつみはレーダーを照射する日本海の方向に民家や診療所がある。照射角度は5度以上とし民家などへの影響はないというが、不安は払拭(ふっしょく)されていない。
 緩衝地帯を700メートルとした理由について、同省は佐竹敬久秋田知事の要請などに基づいたとする。
 佐竹知事は3日の定例記者会見で「それだけ離せばある程度被害は出ないのではという自分なりの考えだ。離すほどいい」と述べた。携帯式ロケット砲(RPG)の射程が700メートル前後であることを念頭に置いた数字だといい、適正な緩衝地帯としての根拠の弱さを暗に認めた形だ。
 阿武町の住民は、迎撃ミサイルが上昇中に切り離す重さ200キロのブースターが町内に落ちることも心配する。
 防衛省は、風速や風向きを考慮して発射するので演習場内に落下させられると強調する。しかし14日の住民説明会で出席者に「それは100%か」と迫られた担当者が「数学的な意味では100%はない」と否定した。花田憲彦町長は「(可能性が)1%でもあれば不安だ」と口にした。
 同省が配備計画を進める前提とする「地元理解」の意味を尋ねた住民の質問に、五味賢至戦略企画課長は「一概に説明するのは難しい。その時の状況によって判断する」とだけ述べた。
 秋田と山口。現地調査でのお粗末な数値ミス発覚も加わり、遠く離れた両候補地周辺の住民はいずれも不信感を募らせる。「地元理解」が進む気配はない。

[新屋演習場とむつみ演習場]新屋演習場は広さ約1平方キロで、高い場所で海抜29メートル。西側は県有地を挟んで日本海に面し、東側には人口約1万3000の住宅地が広がる。むつみ演習場は広さ2平方キロで最高標高は約540メートル。日本海までは約10キロの距離があり、間に阿武町(人口約3300)が位置する。


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2019年06月21日金曜日


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