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<Eスコープ>宮古−室蘭フェリー就航1年 旅客堅調、貨物は苦戦

室蘭行きのフェリーに乗り込むトラック=21日午前8時50分ごろ、宮古市の宮古港

 宮古市と北海道室蘭市を週6往復する岩手県初の定期カーフェリー「宮蘭フェリー」は、就航から22日で1年となる。旅客輸送は堅調に推移している半面、収益の柱と位置付ける貨物輸送は苦戦が続く。反転攻勢の鍵を握るのは、首都圏への物流を中継する仙台につながる三陸沿岸道だ。(宮古支局・佐々木貴)

 岩手県が公表した宮蘭フェリーの輸送実績(速報値)によると、昨年6月〜今年5月のトラック輸送は3374台。運航会社の川崎近海汽船(東京)が目標とした1万8000台には遠く及ばなかった。
 同社がフェリー就航に踏み切った背景には、ほぼ無料で利用でき、冬季も積雪が少ない三陸道の存在があった。

<敬遠 予想以上>
 仙台−八戸間359キロを結ぶ三陸道は、3月末までに約7割の256キロが開通。東日本大震災の復興支援道路として整備は急ピッチで進むが、全線開通は2020年度の見通しだ。
 「我慢続きの1年だった」と同社の嶋村嘉高フェリー部部長代理は振り返る。無料であっても、一部区間では一般道の走行を強いられてしまう。三陸道を敬遠するドライバー心理は予想以上だった。
 昨年10月にはダイヤを改編し、室蘭発宮古行きは東北自動車道や八戸自動車道への接続が容易な八戸に寄港するようになった。貨物需要の掘り起こしに一定の効果があったものの、抜本的な収益改善には至っていない。

<時間短縮 歓迎>
 就航1年に合わせるかのように、三陸道は22日、釜石北(釜石市)−大槌インターチェンジ(IC、岩手県大槌町)間4.8キロが開通する。
 岩手、宮城の県境をまたいで唐桑南(気仙沼市)−宮古中央(宮古市)IC間106キロが直結され、宮古、仙台両市の時間距離はさらに短縮される。弘前市の運送会社の男性運転手(47)は「これまでよりもかなり便利になる」と歓迎する。
 宮古市など官民でつくる宮古港フェリー利用促進協議会は、北海道と青森県の運送会社10社のドライバー60人を対象にアンケートを実施。「道路整備により、別航路から宮古・室蘭航路への転換を検討するか」との問いに、89%が前向きな回答を寄せた。

<学習旅行 増加>
 就航1年目の旅客利用は2万7273人と、目標の1万7000人を大きく上回る。北海道から沿岸被災地に向かう中高生の震災学習旅行が増えるなど、宮蘭フェリー自体の認知度が高まっているのは確かだ。
 川崎近海汽船は今回の三陸道釜石北−大槌IC間開通を捉え、利便性向上へ再度のダイヤ改編を検討する。嶋村部長代理は「アクセス向上を前面に打ち出し、一層の顧客開拓を目指したい」と話す。


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2019年06月22日土曜日


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