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<三鉄リアス線>開業3ヵ月 乗客増、地域再生の芽 通年観光へ知恵絞る

「いわて三陸プレミアムランチ列車」でにぎわう車内。開業効果で企画列車の販売も好調だ=15日

 岩手県などが出資する第三セクター三陸鉄道(宮古市)のリアス線が23日、開業から3カ月を迎える。滑り出しは「想定を上回る好調を維持」(中村一郎社長)。開業を機に東日本大震災で傷ついた沿線各地には地域再生の機運が芽生えつつある。復興をけん引して快走する三鉄と、その沿線を訪ねた。(宮古支局・佐々木貴)

<1万円でも完売>
 15日運行の盛(大船渡市)発宮古(宮古市)行き「いわて三陸プレミアムランチ列車」。車窓からの眺めが三陸の旬の味覚を一層引き立てていた。リアス線初乗車という郡山市の男性会社員(52)は「被災した県同士、少しでも力になりたい」と話す。
 コース料理込みの運賃1万円は、三鉄の企画列車で過去最高額だ。7月運行の久慈(久慈市)発宮古行きを含めて80人分の切符は、瞬く間に完売した。
 中村社長は「盛から久慈まで163キロが1本のレールで結ばれた話題性が広く周知されている」と開業効果の手応えを語る。
 実際、4月の乗車人員は9万4773人で前年同月に比べ5万8690人増。JR東日本から移管された旧山田線の釜石−宮古間(55.4キロ)を利用した4万9656人が、数字を大きく押し上げた。
 予想外だったのは旧南、北リアス線区間の伸びだという。旧南リアス線区間で1万6592人(前年同月比7123人増)、旧北リアス線区間で3万7392人(1万778人増)を記録した。
 久慈市は4〜5月に市内主要8施設の観光客が増えた要因にリアス線効果を挙げた。
 「恋し浜ホタテ」で知られる大船渡市三陸町の小石浜地区では、恋し浜駅前にある交流拠点「恋し浜ホタテデッキ」が5月、土、日曜の業務に乗り出した。
 2015年の開館以来、主にイベントで利用されてきた。館長の阿部正幸さん(36)は「三鉄効果を生かして地域の魅力を発信したい」とカフェの営業やホタテのバーベキューを検討している。

<W杯好機生かす>
 夏の行楽シーズンを経て、9月には沿線の釜石も試合会場となるラグビーのワールドカップ(W杯)日本大会が開幕する。この機を捉えて沿線の関係者は、一過性の開業効果から通年観光の定着へ知恵を絞る。
 大槌町の「三陸花ホテルはまぎく」はリアス線開業がきっかけとなって台湾の旅行会社によるツアールートに組み込まれた。9月まで計約800人の宿泊予約が入っている。
 町観光交流協会の会長でもある社長の千代川茂さん(67)は「訪日外国人旅行者はまだまだ増える」と強調。観光客が減る冬場を見据え「三鉄の旅と沿線の宿泊施設を組み合わせた観光商品づくりを協議している」と言う。
 旧南、北リアス線が震災から復旧した14年も三鉄に乗車して復興を後押ししようと盛り上がったが、長続きはしなかった。18年度決算の経常損失は3億8278万円で25年連続の赤字になった。
 中村社長は「日常の利用促進を呼び掛けるマイレール運動と、観光客を呼び込む企画列車運行の両輪で経営改善に取り組みたい」と気を引き締める。


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2019年06月22日土曜日


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