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<人駅一会>(3)渡波/古里守る使命感心に刻む

地上7メートルの高さに張られたロープを渡る阿部さん。「住民に頼ってもらえるレスキュー隊員になりたい」。奥に広がるのは、津波被災者が集団移転した「さくら町」の家々

 東日本大震災で分断された交通網が、長い一本の線につながろうとしている。傷跡を癒やしながら、少しずつ復興に向かう被災地の数々。点々と海沿いに続く駅を起点に訪ね歩いた。

◎阿部勇太さん(25)消防士 石巻市貞山

 渡波駅の近くに新しい町がつくられました。石巻市の「さくら町」です。東日本大震災の後、この町に石巻東消防署が新設されました。訓練塔は宮城県内の消防署の中で最も高い21メートル。てっぺんから渡波地区が一望できます。
 震災の時は高校2年生。津波から10日目の2011年3月20日、連絡がつかない親戚の人を探そうと、石巻市の門脇に行きました。すると消防隊員が何人もいた。
 現場でしばらく見ていたら、被災した人が助け出された。後で80歳のおばあちゃんと孫の2人だったと知りました。消防士になろうと思ったのは、それがきっかけです。
 念願のレスキュー隊員になって3年目。オレンジ色の制服に初めて袖を通した時は、うれしかった。プレッシャーもありますが、古里を守るという使命感をかみしめ、今日もまた訓練に励んでいます。逆さまの格好で失礼しました。

◎石巻東消防署(JR石巻線)

 東日本大震災の際の救助活動によって、石巻広域消防の管内では署員6人が命を失い、5人が負傷した。震災後の2016年9月、渡波と湊の2出張所が統合して、石巻東消防署が設立された。署員は32人で、そのうちレスキュー隊に所属する消防士は12人。
(文・写真 鹿野 智裕)


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2019年06月23日日曜日


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