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<ハンセン病家族訴訟>熊本で28日判決 父が元患者、宮城の原告「母の無念晴らしたい」

父が趣味で作ったかごを持つ男性

 国が長年続けたハンセン病の強制隔離政策で差別や偏見の被害を受けたとして、元患者の家族561人が国に謝罪と損害賠償を求めたハンセン病家族訴訟の判決が28日、熊本地裁で言い渡される。東北からは20人が原告団に参加。父が元患者だった宮城県の50代男性は「隔離政策のせいで普通の生活を送れなかった。国は家族の被害をないがしろにしないでほしい」と訴える。
 男性の父は東北の国立療養所で生活。所外で働く「労務外出」をして、週末だけ近くに住む母子と過ごした。男性は18歳で母を亡くし、古里を離れた。
 集団訴訟は「お母さんのためにも闘ったらどうか」と妻に励まされて参加。昨年9月、東北の原告で唯一、本人尋問に臨んだ。「背負ってきたものを全部吐き出そう」。つらかった子ども時代や父に抱いた複雑な感情を法廷で語った。
 父の病気が原因で激しいいじめを受け、孤独だった小中学校の記憶。酒を飲んだ父に暴力を受けた母が「こんな父ちゃんと結婚してごめんな」と涙を流した姿。結婚後に父を訪問したり、自宅に招いたりした際、孫やひ孫をかわいがる様子を見ると「俺の子ども時代にはいい思い出がない」とつらかったことなどだ。
 2017年に父が死去した。臨終間際、「父の病気が母や自分に苦難を強いた」との思いから、優しい言葉を最期に掛けられなかった無念も打ち明けた。ほかの原告の尋問も聞き、「自分より壮絶な人生を歩んだ人もいる」と被害の深さを痛感したという。
 ハンセン病は感染力が弱く完治するが、国は1996年のらい予防法廃止まで患者の隔離政策を取った。01年の熊本地裁判決は60年以降の隔離政策を違憲と断じ、国は元患者に謝罪と賠償をした。一方、家族に対する偏見や差別には長く目が向けられなかった。
 男性は「私たち家族は陰で生活し、引け目を感じてきた。母の無念を晴らしたい」と述べ、責任を否定する国の姿勢を批判する。28日は熊本市でほかの原告と共に判決を待つ予定だ。

[ハンセン病家族訴訟]2016年2、3月、元患者の子どもら家族が熊本地裁に提訴した。原告は20〜90代で、平均年齢68歳。国に謝罪と1人当たり550万円の賠償を求める。国側は「家族は隔離政策の対象外で、共通の被害はない」と主張する。


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2019年06月23日日曜日


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