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<せんだい進行形>食品ロス 仙台圏外食産業の取り組み

女性の利用が多いビュッフェは多種類の料理を少量ずつ提供。食べ残しが少なく済むという=仙台市青葉区のホテルメトロポリタン仙台
亘理ファームでは、食品くずを再資源化した堆肥で改良した土壌でカボチャを栽培している

 先月24日、食品ロス削減推進法が成立した。コンビニ各社は消費期限切れの近い食品の値引きに踏み切るなど、小売業の対応が注目を集める。ただ、年間643万トン(2016年度推計)の食品ロス全体で見ると小売業は66万トンで1割程度。2倍超の133万トンを占めるのが外食産業だ。ロスの主な原因は消費者の食べ残し。企業はもちろん、消費者の意識も問われる課題について仙台圏の取り組みを見た。(報道部・天艸央子)

◎ホテルメトロポリタン仙台 宴会時に声掛け

 「シェフ自慢の料理を、席に戻ってもう少しいかがですか」
 宴会終了10分前、会場に幹事のアナウンスが響く。食べかけの料理皿、飲みかけのコップを自分の席に残したまま移動し、そのままお開き−そんな経験は誰もがあるはず。ホテルメトロポリタン仙台(仙台市青葉区)は昨年、宮城県の「みやぎの食べきりモデル店舗」認定を機に、こうした声掛けを始めた。
 参考にしたのは2011年に長野県で始まった「3010(さんまるいちまる)運動」。開始後30分、終了前の10分は自分の席で料理を食べようと呼び掛ける。同ホテル営業統括グループの米山俊秀部長は「実際に声掛けした宴会では、皿上の食べ残しが目に見えて少ない」と手応えを語る。
 宴会時の食べ残しは、従業員の間でも気にする声が以前から上がっていたという。女性利用が多い朝食・昼食ビュッフェでも、約80種類の料理を少量ずつ提供する。
 難しさもある。アナウンスは事前に幹事にお願いするが、全て応じてもらえるわけではない。皿の食べ残しは減っても、宴会全体の適正な供給量は把握が難しい。米山部長は「料理が足りない状態にはできない」と、サービスとの兼ね合いに頭を悩ませる。
 農林水産省の調査(15年度)によると、外食で食品使用量に対する食べ残しの割合は宴会が14.2%で最も高い。「食べきりモデル店舗」認定の26店舗は食堂やファストフード店などが多く、宴会への波及はいまひとつだ。
 そもそも、仙台市内の認定店はホテルメトロポリタン仙台だけ。県の担当者は「食べきりも適量メニューの選択もお客さん次第。二の足を踏む店舗もある」と話す。
 福井県は06年度から「おいしいふくい食べきり運動」を展開し、認定店舗は1000を超えた。同県の担当者は「食べ残しが減るのは店のメリットになる。賛同者は多い」と説く。
 店側の対策も必要だが、最終的に問われるのは消費者の意識。食品ロス削減の工夫を行う店を積極的に利用したり、宴会時に仲間同士で声を掛け合ったり。そんな姿が、仙台圏のスタンダードになる日は来るか−。

◎カルラ 食の循環を推進

 食品廃棄物の「発生抑制」を目指す食品ロス削減は緒に就いたばかりだが、再資源化の取り組みは進む。
 和風レストランまるまつなどを展開するカルラ(富谷市)は、「循環型食品製造」に取り組む。2015年、農園を営む関連会社亘理ファーム(宮城県亘理町)に、動植物性残さ(食品くず)を堆肥化する設備2基を新設した。
 本社併設の食品工場「セントラルキッチン」では、製造段階でキャベツの芯や牛タンの皮などの残さが毎日約300キロ発生する。これを亘理町に運び堆肥化。堆肥を使った土壌で栽培したカボチャやキウイが、セントラルキッチンで食品になるという循環だ。
 農林水産省の17年度調査では、食品リサイクル実施率は食品製造業が96%で最も高く、卸売業、小売業は50%超。分別が徹底されにくい外食は43%にとどまる。伊藤真市専務は「以前は外部の処理業者に委託していた月30万〜40万円の費用が6万〜7万円に低減できている」とメリットを語る。


2019年06月28日金曜日


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