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<南東北 つながる未来>第1部・観光(1)果樹王国で甘い体験を

サクランボ狩り体験を楽しむ留学生ら=9日、東根市

 東北中央自動車道の南陽高畠−山形上山インターチェンジ(IC)間24.4キロが開通し、東北道、山形道と合わせて南東北3県を結ぶ環状の高速道が誕生した。産業振興や防災・減災などさまざまな効果が期待される中、高速環状ネットワークは、南東北に何をもたらすのだろう。第1部では時間距離の短縮やルートの多様化が可能になる点に注目し、各地で動き始めた広域観光連携の取り組みを紹介する。

<規格外を活用>
 サクランボやラ・フランスの規格外の果実を使った菓子とパンの店「ケヤキ スイーツ・アンド・ベーカリー」が14日、東根市にオープンした。
 東北芸術工科大(山形市)の本吉裕之准教授(43)=経営企画=が研究室の学生らと企画に携わり、福島市のブライダル会社「ウエディングエルティ」が事業化した。
 東北中央道の東根北ICからは車で10分ほど。南陽高畠−山形上山IC間の開通で生まれた環状高速道が、東根市に南と東の両方向からの人の流れを生み出すことを見越しての開業だった。
 店名に冠したケヤキは東根市の木であると同時に、宮城、福島両県の木でもある。果物の販路拡大や規格外果実の有効活用を通じ、将来的に3県の生産者を支える存在になることを目標としている。
 本吉准教授は「出店を後押ししたのは高速道の開通。福島県産のモモや宮城県亘理町産のイチゴなども取り入れたい」と語り、3県の果物を使った商品開発に意欲を見せる。
 「仙台のずんだと山形のだだちゃ豆を使ったシュークリーム対決も面白いかな」と本吉准教授。3県の特産品を思い浮かべ、アイデアを膨らませる。

<訪日客拡大へ>
 サクランボの全国生産量の約4分の3を占める山形県で、東根市は市町村別で栽培面積トップを誇る。市内の観光サクランボ園でも、誘客に高速道を生かせないかどうか模索が続く。
 東根北IC近くの農園では9日、国際協力機構(JICA)の留学プログラムで来日し、宮城、福島両県で学ぶ留学生と家族らがサクランボ狩りに挑戦。高級品種の「佐藤錦」「紅秀峰」をもぎ取り、笑顔で口に運んだ。
 家族4人で参加したパプアニューギニア出身で福島大共生システム理工学研究科のロア・エデアさん(34)=福島市=は「サクランボ狩りは初めて。新鮮な体験だ」と目を輝かせた。
 福島西−東根北IC間は東北中央道経由、東北道・山形道経由、ともに片道1時間半程度。エデアさんは「どちらのルートからでも気軽に足を運べるのがいい。友人や知り合いにも教えてあげたい」と言う。
 市さくらんぼ国際交流協会や市観光物産協会の関係者は「東根ならではの体験観光が外国人に受け入れられる手応えが得られた。インバウンド(訪日外国人旅行者)の拡大につなげたい」と語る。環状高速道が、果樹王国の新たな武器として威力を発揮し始めた。


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2019年06月29日土曜日


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