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<ハンセン病家族被害認定>「つらい記憶消えぬ」東北の原告、勝訴にも複雑

 ハンセン病患者の隔離政策を巡る家族訴訟で、東北の原告らからは勝訴の喜びとともに「つらい記憶は消えない」と差別の深さを改めて指摘する声も上がった。
 東北の原告は561人中20人。父が元患者だった宮城県の50代男性は熊本地裁の傍聴席で判決を聞き、外で待つ妻と「まずは良かったね」と喜んだ。「でも、うれしさ半分、悔しさ半分」。原告の一部の請求は認められず「みんなで国の責任を追及し、励まし合ってきた。(認められなかった)無念を思うとつらい」と硬い口調で話す。
 父が元患者だった福島県の男性(74)は「当然の判決だ」と受け止める。療養所入所を父が拒み、秋田県内に住んでいた一家は地域で孤立。男性の縁談が何度も断られ、父が自殺未遂をしたこともある。「過去の苦しみが心から消えることはない」と言う。
 訴訟の原動力となったのは、黒坂愛衣東北学院大准教授(社会学)による家族被害の実態調査だった。黒坂准教授は「国の過失を認めた。大きな一歩だ」と判決を評価した上で「人生の長きにわたり深い被害を受けたのに賠償額が非常に少ない」と指摘する。
 さらに「561人が訴訟で声を上げ、うち29人は本人尋問に臨んだ。自分たちの言葉で被害を語った意義は大きい」と話す。元患者の肉親の存在を隠すなど、いまだに被害を語れない家族の多さを挙げ「判決で国の責任が認められ、被害を訴える声が広がるのではないか」との見方も示した。

 ハンセン病元患者の家族561人が国に損害賠償と謝罪を求めた、初の集団訴訟。苦悩を受け止めた熊本地裁判決は28日、国の責任を全面的に認めた。


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2019年06月29日土曜日


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