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<大農協元年>合併「新みやぎ」発足(中)組織効率化の背景/信用事業 農村部厳しく

新農協の本店となる旧小学校校舎で急ピッチで進む移転作業。組織合理化の速度は定まっていない=24日、栗原市築館

 宮城県北5農協(栗っこ、南三陸、あさひな、いわでやま、みどりの)合併による「新みやぎ農協」(栗原市)は、全国1位のコメ販売高のほかに全国10位の数値もある。1332人(2017年度)と全国屈指の職員数だ。
 肥大化した新農協は事業計画で「人員配置の再編・効率化」による合併効果の追求を掲げる。
 役員は5農協計128人から49人に削減。職員採用は「定年退職者の半数程度で検討している」(合併推進協議会事務局)という。人件費は20年度計画で合併前の17年度比約3億3000万円減とはじく。

<地区本部制が影>
 組織の統廃合も大幅なコスト削減につながる。各農協で同一システムを使う金融部門と人事などの総務部門は、将来的に管理業務を本店に集約する。
 だが、5農協に本部機能を残す「地区本部制」が効率化に影を落とす。本部機能の分散は合併効果を削ぎかねないためだ。
 「農協は採算最優先の銀行と違う」(桜井藤夫あさひな農協組合長)「地区本部制からの移行は1年でも早い方がいい」(高橋英夫栗っこ農協常務)。最長3年続く地区本部制への幹部の意見は分かれる。
 大合併で経営合理化を目指すのは、組合員への融資など農協経営を支える信用事業の不振が背景にある。
 5農協の組合員の貯金高はグラフの通り、13年度から5年で約128億円増加した。運用資産は積み上がったが、肝心の信用事業粗利益はこの間、約4億2000万円減った。
 典型は南三陸農協(南三陸町)だ。貯金額は東日本大震災前の09年度の約336億6000万円から18年度は約631億1000万円と、ほぼ倍増した。「共済保険や復興事業の用地買い上げなどで手元に入ったお金を農協に預けてくれた」(尾形政司組合長)ためだが、信用事業粗利益は約1億円の増加にとどまる。

<稼ぐ図式崩れる>
 全国の農協から貯金を集める農林中央金庫(農林中金)の運用環境の悪化がその要因だ。長期化する日銀のマイナス金利政策と外貨調達コストの高止まりで、各農協への収益還元が難しくなっている。
 利払い負担軽減のため農林中金は4月、各農協からの預金金利の段階的な引き下げを始めた。今後4年で0.1〜0.2%引き下げる。この影響で、貯金高が3000億円超となる新みやぎ農協も、13年度に約30億円だった信用事業粗利益が20年度には20億円を割り込む見通しだ。
 宮城大の川村保教授(食料経済学)は「信用事業など金融で稼ぐ農協経営の図式が崩れてきた。不動産事業への貸し出しが多い都市部の農協と違い、農村部の農協は一層経営が厳しくなる」とみる。
 組合員への平等な環境と経営の効率化。新農協は二兎(にと)を追う難しいかじ取りを迫られる。


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2019年06月30日日曜日


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