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<人駅一会>(4)陸前稲井/石と向き合い思い末永く

黙々と、稲井石の側面に仕上げの「ノミ切り」を施す職人。「石ごとの性質を見極めないと、加工している間に壊れてしまう」(阿部さん)。石に専用のノミで独特の模様を刻み込む

◎阿部伸さん(54)石材店経営 石巻市新栄

 陸前稲井の駅前を通る県道沿いには、昔から石材店がたくさんありました。近くにある牧山で「稲井石」が採れるからです。木目のようなきれいな縞(しま)模様があって、この石で作られた石碑が全国のあちこちに建てられています。
 うちの会社は100年以上前から採石や加工を続けている。工場は駅前にあるので、私の子どもの頃は石碑なんかを貨物列車で出荷しましたよ。
 工場は東日本大震災で傾き津波にも襲われました。幸い4カ月後には仕事を再開しましたが、しばらくは墓石の修理ばかり。納骨に立ち会ったりすると、遺族の悲しむ姿にやり切れない思いがしました。
 でも、お墓を直してあげるのが自分の務めだと心得て、仕事してきました。
 稲井石は風化しにくく、彫った字も末永く残る。それに雨にぬれたりすると、縞模様が一層鮮やかに浮き立つんです。お墓にももちろん適していますが、一番はやっぱり記念碑だね。

◎アベタ石材(JR石巻線)

 稲井石は別名「仙台石」とも呼ばれる。約400年前、北上川の改修工事を指導した川村孫兵衛が護岸工事に使用したという。陸前稲井駅の周辺にはかつて50軒を超える石材店があったが、今は半分以下に減ったという。阿部さんが専務の「アベタ石材」は東日本大震災後、女川町の復興記念碑や瑞巌寺参道の敷石などを手がけている。
(文・写真 鹿野 智裕)


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2019年06月30日日曜日


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