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<商業捕鯨>石巻、観光客増に期待 採算性には不安も

石巻市鮎川地区

 日本の商業捕鯨が31年ぶりに再開され、沿岸操業の国内拠点の一つとなる石巻地方は1日、捕鯨新時代に期待が高まった。関係者は東日本大震災からの復興や観光振興への波及を願う一方、国民のクジラ離れや限られた捕獲枠による採算性には不安をにじませた。
 クジラの町として繁栄した石巻市鮎川は捕鯨産業の衰退に津波被害が追い打ちを掛け、再生途上にある。
 村井嘉浩宮城県知事は「鮎川の復興や地域活性化、食文化の伝承などの面からも非常に重要だ」と再開の意義を強調。「国際捕鯨委員会(IWC)加盟時から連携する自治体と情報共有し、今後の状況を注視したい」と語った。
 亀山紘石巻市長も「捕鯨でにぎわった時代がある鮎川の発展が期待され、大変うれしい」と歓迎した。
 石巻圏観光推進機構の斎藤雄一郎業務執行理事(61)は「クジラは石巻ならではの観光資源。観光客が減っている牡鹿半島への誘客にもインパクトとなる」と話す。来訪者が気軽にクジラを味わえるよう「もっと地元で食べられる場所をつくることが大事」と環境整備を促した。
 水産庁は1日、IWCで採択された方式で算出した捕獲枠を公表。新たに捕獲可能になるミンククジラは今年末まで52頭とされた。
 亀山市長は「地元にどの程度確保されるのか」と捕獲枠の行方を危ぶむ。
 鮎川に拠点を置く鮎川捕鯨の菊田憲男執行役員(65)は「採算性など不安もある。事業として成り立つよう頑張らないといけない」と気を引き締めた。
 消費の先行きも見通せない。商業捕鯨が禁止された31年間で、日本の食卓からクジラはほぼ消えた。
 鮎川と同様、捕鯨産業が盛んだった宮城県女川町の須田善明町長は「今後は単なる『地域の食文化』にとどめるのではなく、『鯨を食べる文化』そのものを醸成していくことが肝要だ」と鯨食の裾野を拡大させる必要性を指摘した。


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2019年07月02日火曜日


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