山形のニュース

<南東北 つながる未来>第1部・観光(5完)自然と科学「健康」提供

健康食を提案する「クアオルトこんにゃく会席箱膳」=上山市の丹野こんにゃく

<「保養地」戦略>
 羽州街道の宿場町のたたずまいを残す上山市の国史跡楢下宿(ならげしゅく)。創業60年のこんにゃく製造販売「丹野こんにゃく」が昨年秋、自社運営のこんにゃく料理店で「クアオルトこんにゃく会席箱膳」の提供を始めた。
 前菜、お造り、煮物、揚げ物、ご飯、吸い物、デザート。味や色、食感、アイデアで楽しませる「こんにゃくずくめ」は、培われた技術のたまものだ。
 食物繊維が豊富で低カロリーのこんにゃくは、整腸作用やダイエット効果があるとされ、健康食として注目を集める。箱膳は400キロカロリーを目安とし糖質を抑え、塩分も3グラム程度にとどめるよう工夫した。
 楢下宿は、東北中央自動車道南陽高畠−山形上山インターチェンジ(IC)間の4月開通で新設された、かみのやま温泉ICから東に約5キロ。丹野真敬社長(42)は「環状高速道の誕生で、福島県や宮城県北部に客層が広がった」と手応えを語る。箱膳は季節で内容が変わり、リピーターの満足度も高いという。自宅で調理できるレシピを伝え、健康的な食生活にもつなげてもらう。
 上山市は10年ほど前から里山や温泉、食といった地域資源を生かす「クアオルト」事業に取り組んでいる。クアオルトはドイツ語で「健康保養地」の意味。気候や野山など自然の力を借りて病気の治療や健康増進を図る。上山市は、ウオーキングや健康に配慮した食の提供を核に滞在型の健康保養地を目指す。
 丹野社長は「高速道からの誘客には、歴史や文化、自然といった、寄り道の魅力とストーリー性が求められる。郷土食を通じ、健康への気付きの旅を提案していきたい」と意欲を示す。

<医療との連携>
 山形上山ICに近い山形大医学部(山形市)では来年8月、東北・北海道で初となる重粒子線がん治療が始まる予定だ。東北中央道を利用して遠方から来院する患者も多いとみられる。
 同大医学部や荘内銀行(鶴岡市)などが16年に設立したのが、同大医学部先端医療国際交流推進協議会。重粒子線がん治療施設の知名度向上を主眼に、訪日外国人旅行者(インバウンド)の誘客や先端医療の国際交流を図っていく。
 東北中央道沿線の山形、上山、天童3市も、クアオルト事業や重粒子線がん治療などの取り組みを観光振興につなげるヘルスツーリズムの連携構想を描くが、具体化に至っていない。
 荘内銀行地方創生部の樋口繁良部長(57)は「高速環状ネットワークの整備は、ヘルスツーリズムを前に進めるきっかけになるだろう」と期待する。「重粒子線がん治療を受ける患者のニーズを把握した上で、ツアー化が実現すれば、地域経済への波及効果は大きい」


関連ページ: 山形 経済

2019年07月03日水曜日


先頭に戻る