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<レスリング・プレーオフ>伊調消沈、遠のく夢 恩師ら「頑張った」

女子57キロ級 川井梨にポイントを奪われ、マットに膝をつく伊調=埼玉県和光市総合体育館

 五輪5連覇の夢は大きく遠のいた。6日に埼玉県であったレスリングの世界選手権(9月・カザフスタン)代表を懸けた女子57キロ級プレーオフで、伊調馨(ALSOK、八戸市出身)が川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)に敗れて代表切符を逃した。来年の東京五輪出場は厳しいものとなり「戦う姿を見せられないのは悔しい」。感情を表に出さないレスラーが珍しく声を詰まらせた。
 終戦を告げるブザーが鳴ると、マットに視線を落として膝をついた。どよめきが消えない会場の隅で、頭からタオルをかぶって黙り込んだ。
 幼少期から中学まで指導した沢内和興さん(72)=八戸市=は取材エリアで報道陣に囲まれる伊調を2階観客席からじっと見つめていた。その後、あいさつに来た教え子にそっと声を掛けた。
 「まぁ、休め」
 2016年リオデジャネイロ五輪で4連覇を達成した後は、レスリングをやめる意向を打ち明けられていた。それでも伊調はパワハラ問題を乗り越えてマットに戻っている。そんな教え子が誇らしかった。
 「ブランクを敗因にしたら馨に失礼。年を取ったのはマイナスじゃなかった。いい試合だった」。力を尽くして闘った35歳をたたえた。
 04年アテネ、08年北京五輪銀メダリストの姉千春さん(37)は、伊調が6月の全日本選抜決勝で川井梨に敗れてから、東京で身の回りの世話をしてきた。自身もアテネ大会代表を懸けたプレーオフを経験。その時は妹の存在が心強かった。
 古傷の痛みや疲労を抱えながらも、弱音を吐かず耐え抜いた妹を一番近くで見守ってきた。「頑張った。お疲れさまと言いたい」とねぎらった。


2019年07月07日日曜日


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