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<参院選東北>営みの中で/消費税増税 国の補助、商店主に冷淡

最新のレジ端末が並ぶ展示会。買い替えを悩む事業者は少なくない=6月27日、仙台市宮城野区

 菓子や日本酒、たばこ、調味料などさまざまな商品が陳列棚に並ぶ。洗剤など日用品もそろえ、レジ前の駄菓子コーナーには近所の子どもたちが集まる。

<対応レジ買えず>
 仙台市郊外の住宅街にある昔ながらの個人商店。消費税率が8%から10%に引き上げられる10月を約3カ月後に控え、店主の荒井忠夫さん(72)=仮名=の表情はさえない。
 「消費の落ち込みも心配だが、高齢でローンが組めず、複数の税率に対応したレジさえ買えない」。近所の大型スーパーに客が流れて経営が厳しい中、増税に伴う出費が重くのしかかる。
 国は増税に合わせ、家計の負担を和らげる目的で軽減税率を導入する。酒と外食を除く飲食料品と新聞の税率を8%に据え置く制度。事業者は10%と8%を区分してレシートに記載しなければならず、軽減税率に対応したレジへの買い替えが必要になる。
 店のレジは約25年前に約70万円で購入し、3000種類ほどある商品を約50部門に分けて管理する。メーカーの営業マンに同クラスのレジ購入を相談すると「50万〜70万円かかる」と言われた。
 レジ1台当たり最大20万円を上限に、かかった費用の4分の3を支援する国の補助制度を活用しても30万円以上足りない。数万円の機種もあるが、機能面で劣る。荒井さんは「今の売り上げではまとまった現金を用意できない。安いレジを買って大ざっぱに管理するしかないのだろうか」と諦め気味に話す。
 中小企業庁によると、全国30万件分のレジ改修に必要な予算を確保したものの、補助の申請件数は6月末現在、約11万1000件にとどまっている。
 消費税増税を柱とした社会保障と税の一体改革関連法は2012年8月に成立した。消費税は14年4月に5%から8%に引き上げられ、10%への増税は15年10月と17年4月の過去2回、景気に悪影響を与えるとして見送られた。三度目の正直となる今回も景気の先行き不安が付きまとう。
 国は急激な消費の落ち込みを避けようと10月から9カ月間、キャッシュレス決済のポイント還元事業を実施する。中小企業や小規模事業者の店舗で電子マネーやクレジットカードなどを利用して買い物すると、5%分のポイントが返ってくる仕組みだ。

<生き残りに不安>
 国はキャッシュレス対応の端末機の導入や事業者が負担する決済手数料を補助する方針だが、そもそも現金志向が強い高齢者らをターゲットにした店では大した効果が見込めない。荒井さんの店もスマートフォン決済を導入しているが、利用者はほとんどいない。
 「増税になれば当然、財布のひもは固くなる。大型店のように値下げ競争もできない。どうやって生き残ればいいのか」。荒井さんが増税の陰で苦悩する商店主の気持ちを代弁する。(報道部・鈴木拓也)


2019年07月08日月曜日


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