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<参院選>農業政策、攻守が逆? 与党→輸出促進と技術革新 野党→農家保護へ戸別補償

 参院選(21日投開票)で、与野党が対照的な農業政策を掲げている。自民党が農産物の輸出促進、先端技術を生かすスマート農業といった攻めの姿勢を打ち出す。一方、立憲民主党や国民民主党は旧民主党政権下の戸別所得補償制度の復活を目玉に据えた。攻守が逆転したようにも映る与野党の主張は、農家の投票心理にどう響くのか。

<1兆円は間近>
 環太平洋連携協定(TPP)、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)が発効して初の国政選挙となった。農林水産品の輸出額を2019年までに1兆円とする政府目標は達成間近。自民は輸出を新たな収入源の柱とした。
 「人口減少で国内市場が縮小していく今、輸出を積極的に進める」。同党農林部会副部会長の進藤金日子参院議員(比例、非改選)=大仙市出身=は強調する。
 農家の高齢化や担い手不足への対策には、中山間地域を含めた生産基盤の再整備やスマート農業の導入加速を盛り込んだ。進藤氏は「過疎地も農地を維持しながら、将来にわたって少人数で営農していけるように経営を集約する必要がある」と説明する。

<攻めより守り>
 立民と国民は、生産費と販売価格との差額を各農家に支払う戸別所得補償制度の必要性を訴える。
 立民の枝野幸男代表は公約発表の記者会見で「貿易自由化の中、農家は特に厳しい状況に追い込まれている」と保護優先の姿勢を示した。国民は食品生産過程の安全性を担保する認証「GAP(ギャップ)」を取得した農家には費用の加算も盛り込んだ。
 衆院農林水産委員会に所属する国民の緑川貴士衆院議員(比例東北)は「安心安全への取り組みを制度で評価することが大切」と提言。「日本は地理的条件の悪い農地が多い。与党が言う『攻め』の前に、まず『守り』があってしかるべきだ」と反発姿勢を強める。

<米価が鍵握る>
 東大大学院の安藤光義教授(農政学)は「近年の米価安定を背景に、自民は農家間にも経済原則を働かせ、『強い農業』への構造改革を進めている」と指摘。立民、国民の公約に関しては「対立構図をつくるため、過去に好評だった戸別所得補償を前面に押し出し、争点を明確化する戦略に出た」と分析する。
 東北6選挙区の勝敗の行方に、農業票が与える影響は小さくない。安藤教授は「本年産米の価格がポイントになる」とみる。「天候不順などに伴う作況と需給バランスから、米価が下がる不安が広がれば野党へ、なければ与党へ票が流れるだろう」と推測する。


2019年07月08日月曜日


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