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<参院選東北>営みの中で/外国人労働者 共生への道、依然不透明

農協職員からアドバイスを受けるガーさん(左から2人目)らベトナム人技能実習生。即戦力として活躍している=秋田県八峰町

 人手不足にあえぐ農業を異国からの「助っ人」が支えている。
 秋田県八峰町の山あいの野菜出荷場で2日、作業服姿の女性約30人がシイタケのパック詰めに追われていた。「早くしないと」。ベトナム人のレー・ティー・ガーさん(20)がつぶやく。口ぶりとは裏腹に、顔を覆うマスクと深めにかぶった帽子の隙間から、柔和なまなざしがのぞいた。
貴重な「即戦力」
 昨年10月から外国人技能実習生として働いている。雇用主の秋田やまもと農協(秋田県三種町)が用意してくれた一軒家で、同僚のベトナム人実習生4人と暮らしている。
 給料の多くを家族に送金している。週に数回、家族と電話して寂しさを紛らわす。「ベトナムで飲食店やケーキ屋を開くのが夢」。ガーさんが目を輝かせる。
 母国で農業経験はない。日本語も片言。それでも訪日すると貴重な「即戦力」となった。
 農協は市場で人気のシイタケの増産を進めている。だが、高齢化と人口減少が進む地域で労働力を確保するのは難しい。ガーさんら外国人が頼りとなる。
 とはいえ農業で生み出す付加価値には限度がある。ガーさんらに支払うのも最低賃金レベルだ。それでも「年収ベースでベトナムの約5倍らしい」。農協北部営農センターの金谷成悦センター長が説明する。
 技能実習制度は技術移転による国際貢献を掲げている。が、出稼ぎ目的の外国人を呼び込むルートと化している側面は否めない。全国では実習生の低賃金労働や失踪も相次ぐ。
 原則、実習生に転職は許されない。好条件に釣られて人材が流出すれば職場は混乱してしまう。「(転職禁止は)ある意味で拘束となり、かわいそうだが…」。金谷センター長は実習生に同情しつつ、規制の必要性も感じている。
地域の担い手に
 農協は今秋、新たにベトナム人実習生5人を迎える。労働力を確保できる半面、住環境整備などの出費も伴う。利益のためだけでなく、地域農業を守るための取り組みに終わりはない。
 産業界の要請もあり、外国人労働者の受け入れを拡大する改正入管難民法が今年4月に施行された。新たな在留資格となる「特定技能」が創設され、滞在期間延長や同業種間の転職に道を開いた。
 改正法は労働力としてだけでなく、生活者として外国人労働者を支援する視点を組み込んだ。国は共生社会の理念を掲げるものの、日本社会の中でどう位置付けていくのかは不透明だ。
 過疎化が進む地方では、外国人労働者が伝統や地域産業の担い手にもなりつつある。「どう共生していくのか。国は明確な道を示してほしい」。やまもと農協の米森萬寿美組合長が訴えた。(秋田総局・鈴木俊平)


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2019年07月09日火曜日


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