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<原発・福島のいま>メガソーラーもう要らない 福島県大玉村 景観懸念、異例の宣言

福島県大玉村内にあるメガソーラー。村は村内にこれ以上造らせない方針だ

 福島県大玉村は、村内にこれ以上「大規模太陽光発電施設(メガソーラー)の設置を望まない」と異例の宣言をした。メガソーラーは緑豊かな自然環境を守る村の基本理念と「著しく調和を欠く」と厳しく指摘。各地で無秩序な整備が進む現状に一石を投じた形だ。

 村側が村議会6月定例会に宣言案を提出し、6月18日の本会議で全会一致で可決された。メガソーラーは「自然環境に著しく違和感を与える」として「山林の大規模伐採による土砂災害への危惧や発電事業終了後の廃棄物処理など、将来への負の遺産となり得る懸念を払拭(ふっしょく)することができない」と強調した。
 村内には出力約1000キロワット以上のメガソーラーが既に4カ所あり、他に2カ所の建設計画がある。目立った反対運動や苦情はないが、森林を伐採して設置した一部地区で太陽光パネルが美観を損ねているとの指摘もある。
 村は1996年、自然豊かな風景を守るための「ふるさと景観保護条例」を制定。2014年には「日本で最も美しい村」連合に加盟した。
 村職員時代、条例の策定に携わった押山利一村長は「安達太良山の裾野に広がる農山村の景観は村の大切な財産。村民の景観保護の意識は非常に高い」と力を込める。
 それだけに固定価格買い取り制度(FIT)が導入された12年以降に全国でメガソーラーが急増し、景観面などで住民トラブルも起きていることに危機感を抱いた。「もうこれ以上、メガソーラーは造らせたくない」と村の担当者。宣言が業者進出の抑止力になることを期待する。
 進出を水際で食い止める作戦も練る。村は村民に、進出計画をキャッチしたらすぐに連絡するよう呼び掛ける方針。計画が固まる前に「村の理念に合わない」という姿勢を示し、思いとどまってもらう狙いだ。
 メガソーラー整備のための送電線設置などで業者側から協力を求められた際、協力できない旨を説明して進出を抑止する考えもあるという。
 福島県は東京電力福島第1原発事故を踏まえ、エネルギー需要に対する再生可能エネルギー供給の割合を40年度までに100%に引き上げるビジョンを12年に策定した。再エネの要であるメガソーラーを拒む宣言は、県の方針に「逆行」しかねない。
 押山村長は「再エネ推進の姿勢に反対しているわけではない」と強調。住宅用太陽光発電施設の助成拡充や民間の小水力発電支援など各種施策を導入する考えを示し「あくまでメガソーラーに限り進出を止めたいだけだ。村の宝である美しい田園風景を残し、次世代に引き継ぎたい」と話す。

[メモ]事業者がメガソーラーなど太陽光発電施設を建設するためには立地と設備の詳細を検討し、経済産業省から事業計画を認定されなければならない。農地の転用や森林伐採を伴う際は関連法令の手続きが必要になる。福島県では敷地面積75ヘクタール以上は環境影響評価(アセスメント)の手続きが必須。50ヘクタール以上もアセスが必要な場合があるという。50ヘクタール未満は不要。


2019年07月09日火曜日


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