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<劇動・参院選ルポ>(1)青森/互いに敵地切り崩し

参院選立候補者の第一声に耳を傾ける聴衆=4日、青森市

 南部地方と津軽地方。地盤の異なる与野党候補が激しくしのぎを削る。両陣営とも敵地での票集めに照準を定める。

<県議選で痛手>
 「津軽を重点地区として、より丁寧に歩いて回りたい」。八戸市を中心とした南部が地盤の自民党現職、滝沢求が力説する。
 その言葉通り、公示翌日の5日、滝沢は津軽に入った。傍らには党選対委員長甘利明がいた。弘前市など4市町を共に回った甘利は「皆さんの目が正しければ、必ず滝沢候補は圧勝する」と声をからした。
 県内で衆院の3選挙区を独占する自民は強固な組織力を誇るものの、4月の県議選では津軽で大きな痛手を負った。これまで選挙を仕切ってきた県連の筆頭副会長、幹事長の2人が落選。津軽の自民県議は「(2人の地盤の)五所川原、東津軽は影響が大きいだろう」と危機感を募らせる。
 陣営や県連は県議らに、会合などで積極的に滝沢の支持を呼び掛けるよう要請し、ねじを巻く。自身の支援者らを集めた会合を開いた県連幹部は「(滝沢の名は)津軽ではあまり知られていない。売り込みは大変だ。1票差で勝てればそれでいい」と胸中を明かす。
 陣営は同時に、地元での票固めにも余念がない。9日に党政調会長の岸田文雄が三沢市や十和田市に入り、11日には官房長官菅義偉が八戸市でマイクを握る。県連幹部は「南部で取れるだけ取る」と息巻く。

<足並みそろえ>
 弘前市出身の立憲民主党新人小田切達は4、5日、南部を重点的に巡った。「年金問題に正面から取り組む」。与党批判を演説の軸に据え、声を張り上げた。5日は立民代表代行で選対委員長の長妻昭が駆け付け、小田切を激励した。
 陣営の合同選対本部長で立民県連代表の山内崇は「敵地でどれだけ票を積めるか」と南部で攻勢を仕掛ける構えだ。公示前には立民代表枝野幸男が八戸市入りした。
 南部では国民民主党が戦いを主導する。前回の2016年参院選青森選挙区で、野党統一候補として自民現職を破った党副代表田名部匡代(非改選)は南部が地盤。公示前から小田切と街頭に立ち「3年前は津軽の人たちにお世話になった」と強調、滝沢の陣地への切り込みを図る。
 不安材料は小田切の知名度不足。統一候補の決定が遅れ、小田切が表立って動きだしたのは知事選(6月2日投開票)の後だった。長妻は「知名度はまだ低いが、これから上げれば票に結び付く」と巻き返しを狙う。街頭演説では共産党支持者らの姿も目立ち始め、野党の足並みはそろいつつある。
 「組織力では自民が上。向こうの倍、汗を流せば勝機がある」。山内は自信をにじませる。(敬称略)

 21日投開票の参院選で、全てが「自民現職対野党統一候補」の構図となった東北6選挙区(改選数各1)は各地で激戦が繰り広げられている。16年参院選と同様、与党優位が伝えられる全国情勢とは一線を画す。6県の戦いに迫った。(6回続き)


2019年07月10日水曜日


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