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<ハンセン病家族訴訟>国、控訴せず 東北の原告安堵「救済策を今後も注視」

 ハンセン病患者の隔離政策による家族への差別被害を認め、国に損害賠償を命じた熊本地裁判決について、安倍晋三首相は9日、「家族の苦労をこれ以上長引かせない」として控訴しないと表明した。

 東北の原告らからは安堵(あんど)や救済策への期待とともに「地域が問題と向き合うきっかけにしてほしい」と偏見の解消を願う声が上がった。
 東北の原告は561人中20人。福島県の男性(74)は「控訴断念はゴールではない。元患者の父も私たち家族も長く苦しんだ。国はしっかり救済に取り組むべきだ」と指摘。父が元患者だった宮城県の50代男性は「差別を恐れて訴訟に加わらなかった人もいる。国が今後示す救済策を注視したい」と話した。
 原告弁護団の内藤雅義弁護士(東京弁護士会)は首都圏や西日本では原告の支援活動や学習会が盛んだったとして、「東北にも沈黙を強いられている家族は数多い。原告の思いに耳を傾け、地域社会が共生を考える一歩にしてほしい」と語った。
 理不尽な法律と差別に苦しめられた構図は、旧優生保護法(1948〜96年)下での優生手術の被害者にも通じる。同法を巡る国家賠償請求訴訟で全国弁護団長を務める新里宏二弁護士(仙台弁護士会)は、今回の控訴断念について「優生手術の被害者に勇気を与えてくれる」と話した。
 全国初となった5月の仙台地裁判決は旧法を「違憲」としつつ、国の責任を免じた。新里弁護士は「ハンセン病訴訟のように、裁判を勝ち切って抜本的な救済を国に求めたい」と控訴審を見据えた。


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2019年07月10日水曜日


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