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米中貿易摩擦で東北の製造業痛手 需要の減少招き、生産活動に影

堅調な業績を支える東洋刃物の富谷工場。今後の需要に影響する米中協議の進展を注視する

 米中貿易摩擦をきっかけとする中国経済の減速などにより、東北の製造業の業績が悪化している。追加関税措置や先端技術の主導権を巡る両国の争いが需要の減少を招き、生産活動に影を落とす。今年に入り各種調査も軒並み景況感の悪化を示し、業界関係者は一様に「米中協議の進展を待つしかない」と話す。
 みやぎ産業振興機構(仙台市)が6月中旬に市内で開いた商談会。東北6県の受注企業199社が参加し、全国から集まった半導体や自動車関連の発注企業91社との商談に臨んだ。
 参加した受注企業は昨年から24社増。「企業の参加数は景気のバロメーター」(機構の担当者)とされ、不景気だと受注企業が増え、好景気では発注企業が集まる傾向にあるという。
 宮城県内の自動車部品製造業の男性社長は「これまでは受注をこなすので手いっぱいで、参加したのは数年ぶり。数社回ったが反応が鈍い。『昨年だったら仕事があった』と言われた」と肩を落とす。
 機構取引支援課の今野祐輝課長は「昨年まではこちらから電話などで受注企業を集めていたが、1年で状況が変わった。景気が後退局面とされる中、新規の受注獲得を求めて顔をつなごうとしている」と分析した。
 影響は指標や業績にも表れ始めている。東北経済産業局は、3月発表の東北鉱工業生産指数の基調判断を「足踏みをしている」に2年ぶりに引き下げた。相楽希美局長は「米中摩擦やスマートフォン新商品の販売不振で、2018年後半から輸出向けの数値が落ちてきた」と説明した。
 東北の製造業の上場企業が5月に公表した19年3月期決算も、6社のうち5社が減益。日東紡(福島市)は、スマホの生産調整の影響でガラス繊維などの販売が低調。東北特殊鋼(宮城県村田町)は半導体市況の低迷を受けて関連需要が落ち込んだ。
 関係者が注目する中、6月末に大阪で開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で、トランプ米大統領は中国への制裁関税の第4弾発動を先送り。習近平国家主席との会談で貿易問題解決に向けた協議継続で一致し、交渉決裂はひとまず回避された。
 産業用刃物メーカーの東洋刃物(富谷市)は、取引先を通じて工作機械などの部品を中国市場に輸出しており、設備投資抑制の影響などで昨年11月ごろから受注が減少している。
 清野芳彰社長は「主力の情報産業用刃物が堅調なため、現状で業績に大きな影響はないが、米中摩擦が長引くと需要が落ち込む可能性もある。両国の交渉の行方を注視したい」と話す。


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2019年07月11日木曜日


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