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<劇動・参院選ルポ>(3)宮城/自民背水、死に物狂い

候補者の演説に耳を傾ける聴衆=11日、仙台市青葉区

 巨大与党が威信を懸けた波状攻撃を仕掛ける。
 「本当に横一線だ。最後まで支えてほしい」

<エースが連投>
 改選数が2から1に減った宮城選挙区。自民党現職愛知治郎の応援演説を終えた官房長官菅義偉は11日夜、仙台市青葉区のホテルに集めた党関係者ら約200人を前に切迫感をあらわにした。
 菅の仙台入りは前日に続き2日連続。「エースの連投は異例中の異例だ」(党県連関係者)。同じ日、党若手のホープ小泉進次郎、前女性活躍担当相野田聖子も県内で街頭活動を展開。終盤には首相安倍晋三の2回目のてこ入れも控える。
 党本部が繰り出す圧倒的な物量作戦は危機感の表れでしかない。2016年の前回参院選で、宮城の自民候補は野党統一候補との事実上の一騎打ちに敗れた。今回苦杯をなめれば、参院選挙区の議席が消える。
 「このままだと、党から見放されるぞ」。県連幹部の号令に、地方議員のエンジンも回り始めた。
 9日、石巻市に入った愛知に地元県議が声を掛けた。「もっと細かく回らなきゃ。街頭も増やす」。急きょコースを変え、議員顔なじみの地元企業などを訪問。街頭演説は予定の2倍の20カ所に及んだ。
 接戦とみられる戦況に「死に物狂いでやる。近道はない」とつぶやく愛知。3期18年を務めた候補者の戦いは、中盤にして既に背水の陣の様相を呈する。

<かみ合う共闘>
 「18年間議員をしている人に挑む。一票を私に託してほしい」
 曇天の8日夕、仙台市宮城野区の市営住宅。立憲民主党新人の石垣のり子は切々と支持を訴えていた。演説を終えると、わずか数人の聴衆に駆け寄り、握手して回った。
 集票の狙いを100万都市・仙台に定める。住宅街の細い路地を縫うように回り、手を振る人を見つけては車から降りて小まめに握手を繰り返す。自民の組織戦と対照的な、草の根型の戦いに徹する。
 野党候補が勝利した前回参院選の行程を基に組んできた遊説日程は見直した。石垣を仙台に集中させ、立民県連顧問の元財務相安住淳(衆院宮城5区)をはじめ、共産、社民など支援を受ける各党の地方議員が郡部を固める。
 出馬表明が5月と遅れたが、情勢は競り合いとの見方が出始めた。「組織力で勝る自民が束になって掛かってくる。世論に訴えるしか道はない」。陣営はアクセルを踏み込む。
 9日には共産党委員長の志位和夫が野党党首として公示後初めて宮城入り。志位、安住と街宣車の上で手を取り合い、高々と上に掲げた石垣。陣営幹部は「共闘がかみ合ってきた。いい勝負になる」と息巻く。
 与野党で分け合ってきた指定席は消え、1議席の争奪戦が熱を帯びる。(敬称略)


2019年07月12日金曜日


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